2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of cancer resistance mechanisms in elephants
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21K05960
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
折野 宏一 北里大学, 獣医学部, 教授 (60214235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 泰永 北里大学, 獣医学部, 准教授 (00552043)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゾウ / 繊維芽細胞 / 発癌防御機構 / FANCL / FANCB / Fanconi anemia / Fanconi/BRCA経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌研究は、培養細胞ならヒトやマウスの細胞株、実験動物ならマウスを使った研究が盛んに行われてきた。これらの研究は、癌がどのように発症するのかを解明することに多大な貢献をしてきた。近年、分子細胞学的手技の発展により、一般的なモデル生物ではない癌になりにくい動物種が発癌防御機構を解析するのに有用であることが示唆されるようになってきた。癌になりにくい動物種として、ハダカデバネズミ、メクラネズミ、ゾウ、クジラなどが報告されているが、本研究では細胞の癌化防御機構が不明なゾウに注目して研究を行い、ゾウの発癌防御機構を解明し、この知識を最終的に獣医療や医療へ応用することを目的とした。すなわち、本研究計画では①正常なゾウ繊維芽細胞を癌化させて、元の正常な線維芽細胞と比較することで、ゾウの癌化に必要な遺伝子、タンパク質を特定すること、および、②ゾウ独自に進化したと考えられる染色体安定性機構の中で、最も進化速度が速い遺伝子であるDNA損傷修復タンパク質FANCLとFANCLが関わるDNA損傷修復経路のFanconi/BRCA経路の機能解析を行う。 今年度もゾウ繊維芽細胞の癌化を試みたが、現在までの所、不死化には成功していない。SV40のLTを導入したゾウ繊維芽細胞も途中で細胞老化してしまった。そこで、 ゾウポリーマウイルスのT-antigenを共同研究者から分与いただき、これを強制発現させた繊維芽細胞の継代を行っている。 ゾウFANCL、FANCBのORFを決定したので、相互作用についてmamalian two-hybrid assayにより調べた。ヒトFANCL-FANCB相互作用と比較してゾウFANCL-FANCBの相互作用が強い可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゾウ繊維芽細胞の不死化には至っていないが、ゾウで新生物を作るポリオーマウイルス由来のLTを分与いただいたので、動物種間の違いによる不死化の成功率低下を回避できる可能性があるため。 また、FANCLの機能解析の一部にも着手しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、 ゾウポリーマウイルスのT-antigenを導入したゾウ繊維芽細胞の継代を行い、不死化を目指す。 FANCLの機能解析として、FANCLとFANCBの相互作用を共免疫沈降法でも確認する。さらに、DNA鎖間架橋剤であるマイトマイシンCを処理した細胞に対するMMC感受性や標的タンパク質の一つであるFANCD2のモノユビキチン化をゾウとヒトとの違いを調べる。
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