2022 Fiscal Year Research-status Report
バーチャルスライドを用いた牛呼吸器病症候群病理診断データベースの構築
Project/Area Number |
21K05965
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
木村 久美子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, グループ長 (30391444)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バーチャルスライド / 牛呼吸器病症候群 / データベース / 病理組織学的診断 / 獣医病理 |
Outline of Annual Research Achievements |
牛呼吸器病症候群(BRDC)は、様々な要因が複雑に関与することによって引き起こされる牛の呼吸器障害の総称である。BRDCでは病態と病原体分離結果が一致しないことも多く、病理学的所見も複雑となり、診断が困難な症例も少なくない。本研究では、BRDCの病理組織学的診断精度向上のために、バーチャルスライド(Whole Slide Image: WSI)によるデジタル画像を用いて、BRDCの病理組織像を比較できるデータベースを構築し、組織所見から類似症例を容易に抽出する方法を開発する。本データベースの構築は、診断の効率化及び標準化に有用である。 今年度は、R3年度にWSI化した症例のメタデータを整理し、一部の症例については特殊染色標本、免疫染色標本のWSIデータを追加した。これらの症例について、農研機構統合データベースにデジタル画像とメタデータの登録を行った。それぞれのファイルにはサムネイル画像を付け、ファイルを開かずに画像を確認できるようにした。また、新たにBRDC 7症例を収集し、病理組織学的に解析を行った。一部の症例についてはTeamsやZoomを利用してWSI画像を遠隔地と供覧し、病理組織像の解説あるいはディスカッションを行った。既存および新規症例をあわせて19症例92枚(累計46症例159枚)のBRDC症例をWSI化し、アノテーションを行っている。 作成したデータベースの検索には、データベース管理ソフトの活用を検討していたが、他プロジェクトにて構築するWSIメタデータ検索システムを活用することとした。そのために、メタデータ項目を同検索システムと統一させた。今後、メタデータ内の専門用語を同検索システムの語彙に一致するよう修正する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R4年度は牛呼吸器病症候群(BRDC)19症例92枚のバーチャルスライド(WSI)化を行い、これらの画像についてメタデータの整理を遂行中である。現時点でWSI化した画像の累計数は46症例159枚であり、本研究課題における目標症例数100症例の半分程度ではあるが、取り込み準備中の症例数をあわせると既に100症例を超えているため、研究期間内に目標は達成できると考えている。 また、膨大な画像データを管理するために「農研機構統合データベース」の活用を検討していたが、症例のメタデータ付き画像データの登録およびファイル名とサムネイル画像の表示も確認済である。 さらに、検索システムについて、データベース管理ソフトの選定が懸念であったが、他プロジェクトで構築する獣医病理学語彙インターフェースを備えたWSIメタデータ検索システムの活用を検討し、R5年度秋には利用可能になる予定である。 以上のことより、本課題の進捗状況は概ね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題における収録症例数の目標100症例を達成するために、引き続き牛呼吸器病症候群(BRDC)の組織標本についてバーチャルスライド(WSI)化・アノテーションを行う。 また、新たに収集したBRDC野外症例あるいは実験感染症例の組織標本についてHE染色、特殊染色、免疫組織化学的染色等を実施し、WSI化、アノテーションを行い、データを集積する。 R5年度内にWSIメタデータ検索システムを活用したBRDCの症例検索、遠隔地(都道府県家畜保健衛生所を想定)からのデジタル画像閲覧を試行する。
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Causes of Carryover |
R4年度予算について、概ね予定通りに使用した。追加の試薬を購入するには残高が少なかったため、R5年度予算と合わせて使用する予定である。
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Remarks |
北海道令和4年度家畜保健衛生所病性鑑定技術検討会(病理部門)において、講義「牛の感染症の病理(呼吸器症状を主徴とする疾病を中心に)」を行い、本研究課題で得られた成果を活用した。 都道府県家畜保健衛生所業績発表会 2件、全国食肉衛生検査所協議会 第79回病理研修会 1件、2022年度家畜衛生研修会病性鑑定病理部門 1件で本研究課題で得られた結果を活用した。
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Research Products
(1 results)