2023 Fiscal Year Annual Research Report
バーチャルスライドを用いた牛呼吸器病症候群病理診断データベースの構築
Project/Area Number |
21K05965
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
木村 久美子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, グループ長 (30391444)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バーチャルスライド / 牛呼吸器病症候群 / データベース / 病理組織学的診断 / 獣医病理 |
Outline of Annual Research Achievements |
牛呼吸器病症候群(BRDC)は、様々な要因が複雑に関与することによって引き起こされる牛の呼吸器障害の総称である。BRDCでは病態と病原体分離結果が一致しないことも多く、病理学的所見も複雑となり、診断が困難な症例も少なくない。本研究では、BRDCの病理組織学的診断精度向上のために、バーチャルスライド(Whole Slide Image: WSI)によるデジタル画像を用いて、BRDCの病理組織像を比較できるデータベース(DB)を構築する。本DBの構築は、診断の効率化及び標準化に有用である。 R5年度までのDB登録数は111症例、約330枚である。収集した症例は化膿性肺炎、間質性肺炎、肉芽腫性肺炎など多岐にわたり、住肉胞子虫症やトキソプラズマ症など、稀な症例も収録することができた。追加の病理組織学的検査を実施できた症例については、特殊染色あるいは免疫組織化学(IHC)を実施し、病変に関与する病原体の分布等についても検索を行った。IHCを実施した症例の多くで複数の病原体が検出され、BRDCにおける病理組織学的検査の重要性が再確認された。これらの症例をDBに収録することによって、今後のBRDCの診断に有効活用できる。 WSI画像はメタデータと共に農研機構内サーバのBRDC専用フォルダに保存した。これらの症例はメタデータ検索システムによって組織診断名、組織所見や病原体等のキーワードによる検索ができる。検索した症例のメタデータでは症例の詳細な情報と共に実施した検査項目等を確認でき、類似症例に遭遇した際に検査方法の参考とすることができる。またサムネイルによって、当該症例のWSI画像一覧がみられ、一見して特殊染色やIHC等の確認ができる。これらのWSI画像は画像配信システムによって閲覧が可能であり、外部からのアクセスはアカウント登録とSSL-VPN接続によって行うことが可能である。
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