2021 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫型制御性B細胞の分化機序と炎症制御機構の解明
Project/Area Number |
21K05970
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤間 真紀 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40542246)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片貝 智哉 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00324682)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | B細胞 / 炎症制御 / IL-10 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内で分化する自然免疫型制御性B細胞(自然型Breg)の局在や性状を明らかにするために、炎症性物質のひとつであるリポ多糖(LPS)をマウスの腹腔に投与することで誘導される腹膜炎モデルを用いた。まず、 低容量のLPSを頻回投与することで、腹腔と脾臓で抗炎症性サイトカインであるIL-10を産生するB細胞が顕著に増加することが確認された。また、以前から炎症誘発時にはIL-10と同時に炎症性サイトカインであるIL-6を産生するB細胞も増加することがわかっていたが、今回、LPS投与で誘導されたIL-10産生B細胞の多くがIL-6を同時に産生していることが明らかになった。また、これらのIL-10, IL-6共産生B細胞が、Breg亜集団として報告されている脾臓のB10細胞や腹腔のB-1a細胞に由来することが、ex vivo実験で明らかになった。マウスへのLPS投与回数を変えて、IL-10単独産生B細胞とIL-10, IL-6共産生B細胞の発生のタイミングを比較したが、両者ともほぼ同じタイミングで生体で発生、増加した。IL-10とIL-6は炎症応答において拮抗する作用もあるため、IL-10とIL-6を同時に産生するB細胞が炎症抑制作用を持つ制御性B細胞として機能するのかは不明であり、現在はその機能をin vivo, ex vivoの両方で解析中である。また、IL-10, IL-6共産生B細胞の生体内での機能や発生のタイミング、局在解析も進行中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、生体内で発生、分化するIL-10産生性の制御性B細胞着目しており、LPS投与による腹膜炎モデルは予定通りに用いることができ、新たな知見も得られている。一方で、B細胞での IL-10産生の鍵となる因子として我々が着目しているIκBNSの役割を明らかにするため、骨髄キメラ法によるB細胞特異的IκBNS欠損マウスの作成を試みてきたが、ドナー骨髄由来のB細胞再構築が上手くいかず、予定していた実験まで進まなかった。その理由が、放射線照射装置の線量低下にあると予想されたため、線量の再計測と照射条件の検討を行い、現在は新たな骨髄キメラマウスの作成を始めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、IL-10産生B細胞の生体での発生機序と局在の解析に加え、炎症時に誘導されるIL-10, IL-6共産生B細胞の機能や発生のタイミング、生体での局在を解析し、IL-10単独産生B細胞とIL-10, IL-6共産生B細胞の機能や役割を明らかにする。また、IL-10産生B細胞の分化におけるIκBNSの関与を明らかにするために、ex vivoでIL-10産生を誘導したB細胞を用いてIκBNSの標的遺伝子の探索を行う。 2021年度に実施できなかった骨髄キメラ法によるB細胞特異的IκBNS欠損マウスの作成については、問題が解決されつつあるので、今後はこれを用いた生体内での Breg分化におけるIκBNSの機能解析を行う。
|
Causes of Carryover |
例年は購入できる実験消耗品が、国内在庫がない状況が続いたりメーカーで欠品となったために会計期限までに納品できなくなった品が生じた為、次年度使用額が生じた。会計年度が変わって納品可能となったものから購入し、当初の計画通り研究を遂行する。
|