2022 Fiscal Year Research-status Report
Integrated understanding of protein function regulated by mucin-type O-glycans
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21K05984
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
工藤 崇 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20288062)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖鎖 / ノックアウトマウス / 糖鎖機能 / 糖転移酵素 / 糖タンパク質 / ムチン型糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
コア1構造は、ムチン型O型糖鎖の主要な構成要素であり、膜結合タンパク質や分泌タンパク質に存在する翻訳後修飾によって付加される。コア1構造を合成する酵素であるコア1β1,3-ガラクトース転移酵素(C1galt1)は、その酵素活性のためにC1galt1特異的分子シャペロンであるCosmcが必要である。Cosmcノックアウトマウスは胚性致死を示すため、成体段階でのコア1由来O型糖鎖の生物学的役割は十分に理解されていない。我々は、膵臓Β細胞特異的なCosmcコンディショナルノックアウトマウス(RIP-Cos)を作製し、コア1由来糖鎖の生理的機能を検討した。RIP-Cosマウスは、野生型では陰性であるHPAレクチンの染色が陽性になることから、コア1構造を持っていることが明らかになった。また、グルコース応答性インスリン分泌の異常より耐糖能異常が観察された。アルギニン応答性インスリン分泌は正常であることから、グルコーストランスポーター(Glut2)あるいはATP感受性カリウムイオンチャネル(Kir6.2、Sur1)などの機能異常が予想された。遺伝子発現解析によりGlut2、Kir6.2、Sur1の発現異常は見られなかった。免疫組織学的解析により膵臓Β細胞の細胞膜に発現するグルコーストランスポーターであるGlut2が著しく減少していることが明らかになった。Glut2にはムチン型O型糖鎖をもっていることは報告されていないため、質量分析等でその有無を確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は、これまでに骨髄、マクロファージ、腎糸球体足細胞特異的なコア1由来O型糖鎖の欠損により表現型異常および全身性の誘導型全身性欠損マウスによる様々な組織形態異常を報告してきたが、今回の膵臓Β細胞特異的な欠損マウスにより新規な表現型異常を発見することができた。今後、その異常の原因である糖タンパク質を同定することによりコア1由来O型糖鎖の新規な機能が明らかになることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
膵内分泌細胞特異的Cosmcノックアウトマウスは耐糖能異常を示すが、その原因分子である糖タンパク質の同定を試みる。これまでは、コア1由来O型糖鎖が多数付加されるムチンドメインをもつ糖タンパク質に注目し、その糖タンパク質の発現維持の安定性に糖鎖が関与することを報告してきた。しかしながら、今回注目するGlut2はムチンドメインを持っていないことから、グライコミクス技術により、コア1由来O型糖鎖が候補分子に付加しているかどうかを検証する。
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