2022 Fiscal Year Research-status Report
マウスin vivo エピゲノム編集による焦点性てんかん発症機序の解明
Project/Area Number |
21K05987
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 紗恵子 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50777927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 哲史 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 准教授 (90711143)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
GATOR1複合体を構成するDEPDC5、NPRL2、NPRL3遺伝子の異常は、様々な焦点性てんかんに最も共通する遺伝的病因である。我々はこれまでに、てんかん発作の原因となる神経異常興奮の好発部位である前脳錐体細胞特異的にDepdc5、Nprl2、Nprl3それぞれの遺伝子を欠失させたconditional KO(cKO)マウスを作製し、いずれのcKOマウスも、生後2週齢から自発性てんかん発作を示すことを明らかにした。抗てんかん薬ラパマイシンは、各cKOマウスに発作抑制効果を示したが、その一方で、投薬中止後の効果はDepdc5 cKOマウスでは持続したものの、Nprl2 cKO及び、Nprl3 cKOマウスでは持続せず、てんかんが再発した。(Ishida et al., Hum Mol Genet. 2021)。このことは、同じGATOR1複合体構成因子であっても、それぞれが、異なる発症機序を有している可能性を示している。 本年度は、これまでに各cKOマウス脳におけるRNAseq解析で得られたデータを基に、各cKOマウスに共通して発現が変化している158遺伝子のうち、Nprl2 cKO、Nprl3 cKOで発現動態が一致し、Depdc5 cKOでは異なる遺伝子の発現を詳細に解析した。解析は、pathway解析でNeuroactive ligand-receptor interactionに分類されている遺伝子やこれまでにてんかん発症との関連が報告されている遺伝子を対象に行った。各cKOマウス脳内の遺伝子発現をRT qPCR解析及びWestern blotting解析で解析したが、これまでに、有意にタンパクの発現が変動している遺伝子の同定に至っていない。今後は解析対象遺伝子を他のPathwayに属する遺伝子や、てんかん発症との関連が未知の遺伝子にも拡げる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
RNA seq解析でのRNA変動を支持するタンパクレベルでの変動が認められる遺伝子の同定に至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにてんかんへの関連が報告されていない遺伝子に解析対象を拡げて解析を続けるとともに、エピゲノム編集ツールの作製を進める。
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Causes of Carryover |
てんかんマウスモデルの更なる解析を行った結果、当初の計画を変更して研究を行うべきであるとの考えに至ったため、申請当初に予定していた使用予定額に変更が生じた。現在取り組んでいる検討を対象を変えて進めるとともに、計画に沿って、in vitroのエピゲノム編集評価系も立ち上げる予定である。
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