2022 Fiscal Year Research-status Report
Lactobacillus murinusによるTFH細胞挙動変化と老化病態
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21K05990
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
川田 耕司 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (20374572)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 濾胞ヘルパーT細胞 / 免疫老化 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
濾胞ヘルパーT細胞(Tfh細胞)は、抗体産生を制御するT細胞サブセットであり、自己免疫疾患モデルマウスの病態形成において重要な役割を担うことが報告されている。また、マウスでは加齢により、本細胞と類似した表現型を示すT細胞が増加することが報告されており、免疫老化の一つの特徴と考えられている。我々はこれまでに、TFH細胞および老化関連TFH様細胞の増加が、マウス由来腸内細菌種であるLactobacillusmurinusにより顕著に抑制される可能性を腸内細菌叢解析から見出しており、また、L.murinus生菌を投与した、ラクトース誘発亜急性老化モデルマウスおよび老化促進モデルマウスSAMP1においてもTfh様細胞増加が顕著に抑制されることを見出した。さらに老化により増加するTFH様細胞の機能について検討したところ、抗原刺激により誘導されるTFH細胞と比較して低い抗体産生能を示すことが示された。免疫老化においては、外来抗原に対する抗体産生低下が認められることが報告されているが、この病態には、上記のTfh様細胞増加が関与している可能性があり、これを抑制するL.murinusが免疫老化抑制に寄与する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、研究代表者の任期満了による職位の変更、及び次年度からの転任準備のため、十分に研究活動を行うことが出来ず、研究は当初計画より遅れている。次年度以降はより効率的に研究を実施し、成果につなげる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
老化に伴うTfh様細胞の増加に対し、L.murinusが抑制的作用を有していることが示されたため、今後は抗体産生能の低下、自己抗体の産生増加等の老化病態に対し、L.murinusが抑制効果を持つか否かについて検討を行う。また同時に全身性エリテマトーデス(SLE)モデルマウスであるMRL/lprやNZB/W F1等、自己免疫性疾患自然発症マウスに対してL.murinus 生菌を経口投与し、昨年度と同様の解析を行って、病態形成に関わるTfh細胞の増加が抑制されるかについて検討する。
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Causes of Carryover |
2021年2月13日に発生した福島県沖地震による動物実験施設の損壊の影響で、当該年度より動物飼育、実験を制限せざるを得ない状況となり、また、2022年に研究代表者が任期満了となり、職位の変更、および転任の準備等により研究活動に遅れが生じたため、次年度使用額が生じている。当該分は前年度までに実施予定だった研究に使用し、翌年度分は研究計画通り実施する予定である。
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