2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒトの腸内細菌叢と免疫系を再構築したデュアルヒト化マウスの開発
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21K05992
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
何 裕遥 公益財団法人実験動物中央研究所, 動物資源技術センター, 室長代理 (90640772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 亮治 公益財団法人実験動物中央研究所, 実験動物応用研究部, 室長 (60425436)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 無菌マウス / ヒト免疫系マウス / ヒト糞便移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫不全マウスにヒト造血幹細胞を移入したヒト化マウスは、ヒト免疫細胞の動態を生体内で解析できる革新的な実験動物である。この実験動物は世界中で用いられ、多くのヒト免疫研究に貢献しているが、これらは当然のことながら通常はSPFグレードで飼育維持され、マウス由来腸内細菌叢を有する。一方で、腸内細菌叢の研究には無菌マウスに菌叢を投与し評価するが、この実験に使用されるマウスの多くはB6やBALB系統など正常な免疫系を有する野生型マウスであり、マウス免疫細胞が研究対象とされている。免疫機能と腸内細菌叢の関係に関して多くの報告がされているが、両者をヒト化し検証された報告は乏しい。ヒト免疫系とヒト腸内細菌叢との相互作用を解析するために、本研究では、免疫系と腸内細菌の両方をヒト化したモデルマウスを開発し、ヒト免疫細胞とヒト腸内細菌叢の相互作用が評価できる動物モデルの確立を目的としている。 本年度は、無菌ヒト免疫系マウスへのヒト糞便移植を行い、免疫系と腸内細菌の両方をヒト化したモデルマウスを開発した。すなわち、放射線照射および造血幹細胞の調整や移入作業を 全て無菌環境下で行い、ヒト免疫が構築された造血幹細胞移入後16週目にヒト糞便を移植し、採血をしてヒト細胞キメラ率の確認を行った。具体的には、ヒトT細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージなどの血中あるいは組織への生着性、脾臓中ヒトT細胞のサイトカイン産性能をフローサイトメトリーにて解析した。ヒト免疫細胞の生着性、分化能を無菌環境下で飼育したヒト化マウスと比較し、再構築されたヒト免疫系のデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
無菌ヒト免疫系マウスの作成および無菌ヒト免疫系マウスへのヒト糞便移植などの作成技術は完成している。現在advance publicationではあるが、その作製技術とヒト免疫細胞の生着性データを論文化(in press)することができた。 しかし、採材時の解析でNOGマウスの腸管内へのヒト免疫細胞の生着は乏しいことがわかり、次年度計画していたヒト腸内細菌(単菌)を移植するモデルマウスの作製の予定を変更するため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
腸内細菌叢と腸管免疫の解析を行うためには、腸管内にヒト免疫細胞が生着する次世代NOGマウスを用いる必要があると考えられる。したがって、次世代NOGマウスを無菌化し再度無菌ヒト免疫系マウスの作製と評価を行う。
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Causes of Carryover |
Flow Cytometry解析ソフトを購入する予定であったが、他部署の解析ソフトを使えたことで購入を見送ったため。
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