2023 Fiscal Year Annual Research Report
The evaluation of new recombinant BCG vaccine with SIV-TB co-infected cynomolgus macaques
Project/Area Number |
21K05995
|
Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
山川 奈津子 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター, 研究員 (80712752)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 結核ワクチン / カニクイザル |
Outline of Annual Research Achievements |
結核は世界三大感染症の一つで、いまだに年間130万人もの人々が命を落としている。結核の予防手段として現在唯一認可されているのは、BCGワクチン接種である。しかしながらBCGワクチンは弱毒化生ワクチンであるため、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性患者や先天性免疫不全症の子供等、免疫力が低下している人々への投与は禁止されている。そこで我々は、すべての人々に安全に投与できる結核ワクチン開発を進めている。 Suppressor of Cytokine Signaling 1(SOCS1)遺伝子の変異体を発現させたBCGワクチン(以下、SOCS1-BCGワクチン)をマウス実験で検証したところ、免疫不全マウスでも重篤な副反応が見られなかった。さらに、正常マウスにおいては既存のBCGワクチンよりも高い結核防御効果を示した。ヒトへの応用に向けて、結核感染時の病態がヒトに近いカニクイザルでのワクチン効果検討も行ったところ、SOCS1-BCGワクチンは既存のBCGワクチンと同程度の結核防御効果を示した。本研究では、免疫抑制下におけるワクチンの安全性および効果を評価するため、ヒトのHIVと同様の症状を引き起こすサル免疫不全ウイルス(SIV)感染カニクイザルモデルを作製し、その毒性や免疫応答を検証した。2022年度にサルの解剖を行い、各臓器における結核菌数を測定した。その結果、SOCS1-BCGワクチンは既存のBCGワクチンよりも菌数を抑える傾向が見られた。2023年度は経日的に採取していた血液サンプルの解析を行った。SOCS1-BCGワクチンの接種後にT細胞応答を活性化させるサイトカインや、炎症反応を抑制するサイトカインの産生が上昇する傾向が見られた。本研究では各群4頭ずつのサルを使用していた。サルは実験結果の個体差が大きい実験動物であるため、2023年度中盤より追加実験を開始している。
|