2021 Fiscal Year Research-status Report
精管結紮雄を用いない新規人工偽妊娠誘起法の開発および妊娠機能の評価
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21K05996
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
金子 武人 岩手大学, 理工学部, 准教授 (30332878)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ラット / 胚移植 / 偽妊娠 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、独自に開発した音波振動装置により雌の偽妊娠誘起に必要な交尾刺激を再現し、ラットの偽妊娠を人工的に誘起することに成功した。本研究は、この方法を精管結紮雄を用いない新規人工偽妊娠誘起法として確立することを目的としている。本年度は、ラットにおける人工偽妊娠誘起法の最適化を目的として、音波振動による刺激時間と偽妊娠誘起の関係について詳細に検討した。その結果、これまで偽妊娠誘起に要していた処置時間の10分の1以下の90秒という短時間でも十分に偽妊娠を誘起できることが明らかとなった。また、処置時間の短縮を行っても偽妊娠が誘起されないという個体は検出されず、全ての雌に偽妊娠誘起をすることができた。さらに、これら偽妊娠誘起後の雌の卵管に胚を移植した結果、移植した胚は子宮に着床し正常な産子にまで発生することが確認できた。このことから、処置時間を短縮した偽妊娠誘起においても黄体が長期間十分に機能していると考えられた。精管結紮雄を用いた従来の方法は、偽妊娠誘起に一晩を要していた。音波振動装置を用いた人工偽妊娠誘起法は、精管結紮雄の交尾行動を元に処置時間を設定していることから処置時間の短縮が課題とされていた。本研究結果から、これまでの10分の1以下の90秒という短時間で偽妊娠誘起が可能であることが明らかとなったことから、偽妊娠誘起に要する作業時間の大幅な短縮が可能となり、高い汎用性が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ラットにおける人工偽妊娠誘起法の最適化を目的として、これまでの処置時間の10分の1以下である90秒という短時間で偽妊娠誘起が可能であることが明らかとした。また、これら偽妊娠誘起後の雌の卵管に胚を移植した結果、移植した胚は子宮に着床し正常な産子にまで発生することが確認できた。研究は、当初の計画通りに遂行できており、研究成果の論文報告も達成できていることから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、ラットにおける人工偽妊娠誘起法の処置時間の短縮を実現することができた。今後は、この方法をマウスに応用することでマウスでの人工偽妊娠誘起法の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた学会がオンライン開催などに変更されたため、計画していた旅費の支出がなかった。次年度では、これらの経費を物品費および旅費に充てることで研究計画を速やかに遂行し、研究成果を報告していく予定である。
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Research Products
(4 results)