2022 Fiscal Year Research-status Report
精管結紮雄を用いない新規人工偽妊娠誘起法の開発および妊娠機能の評価
Project/Area Number |
21K05996
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
金子 武人 岩手大学, 理工学部, 准教授 (30332878)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | マウス / ラット / 偽妊娠 / 胚移植 / ゲノム編集 / 凍結胚 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、雌の偽妊娠誘起には精管結紮雄との交尾刺激が必要とされていた。研究代表者は、独自に開発した音波振動装置により雌の偽妊娠誘起に必要な交尾刺激を再現し、ラットの偽妊娠を人工的に誘起することに成功した。本研究は、この方法を精管結紮雄を用いない新規人工偽妊娠誘起法として確立することを目的としている。昨年度は、ラットにおける人工偽妊娠誘起法の処置時間の短縮および最適化することに成功した。この方法を元に、本年度はマウスでの人工偽妊娠誘起法の開発を目的に研究を行った。まず、独自に開発した音波振動装置に装着するプロープの形状をマウス用に改良した。これを用いて、偽妊娠誘起を行った雌マウスの卵管に胚を移植した結果、移植した胚は子宮に着床し正常な産子にまで発生することが確認できた。産子への発生率は、従来の精管結紮雄マウスを用いた偽妊娠誘起法と比較して有意な差は認められなかった。さらに、本研究では凍結保存してある胚を融解し、テイク法(エレクトロポレーション)を用いてゲノム編集を行った。これらの胚を同様の方法で偽妊娠誘起を行った雌マウスの卵管に移植した結果、ゲノム編集個体を得ることに成功した。本研究結果から、音波振動装置を用いた人工偽妊娠誘起法はラットのみならずマウスにも応用可能であることが示された。さらにこの方法は、遺伝子改変系統などのマウスの効率的な計画生産に応用することができ、高い汎用性が期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、マウスにおける人工偽妊娠誘起法の開発を目的として研究を行い、産子の作出に成功した。さらに本研究では、凍結保存してある胚を融解し、テイク法(エレクトロポレーション)を用いてゲノム編集を行った胚を偽妊娠誘起後の雌の卵管に胚を移植した結果、ゲノム編集個体を得ることに成功した。また、研究成果の論文報告も達成できていることから、本年度は当初の計画以上に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、計画よりも早い遂行ができたことから、新規人工偽妊娠誘起法として確立するための技術普及およびプロトコール公開に向けた整備を行う。
|
Causes of Carryover |
国際学会等の参加計画および論文投稿経費が変更になったため、支出が少なくなった。次年度では、これらの経費を物品費および旅費に充てることで研究計画を速やかに遂行し、研究成果を報告していく予定である。
|
Remarks |
その他出版物 偽妊娠技術紹介 金子武人 実験動物ニュース 2023
|
Research Products
(7 results)