2022 Fiscal Year Research-status Report
ES細胞を用いない新規のコンディショナルな遺伝子機能欠失誘導マウスの開発と展開
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21K06002
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
渡邉 大介 北里大学, 理学部, 講師 (00260175)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コンティショナルレスキュー法 / コンディショナルノックアウトマウス / inversin 遺伝子 / c-kit 遺伝子 / Sl 遺伝子 / 疾患モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
組織特異的な機能を有した遺伝子の解析にはコンディショナルノックアウトマウスをもちいた解析が一般的であるが、その作成には目的とする遺伝子の改変がなされたES細胞の樹立やその後のキメラマウスの作成に特殊な技術や多くの時間が必要とされる。またこの方法ではES細胞が樹立されていないマウス系統での解析は困難である。我々はこの問題を解決する目的でコンディショナルレスキュー法を開発した。この手法ではES細胞を必要としないため、コンディショナルノックアウトマウス法と比へて、簡便かつ低コストで目的とする遺伝子の組織または発生時期特異的な機能の解析か可能である。さらにES細胞が確立されてないマウス系統やマウス以外の動物にも適応可能な新規の技術となっている(特許第6327712)。 昨年度までの研究においては2種類の蛍光タンパク質を指標とし、レスキュー遺伝子の発現を可視可する第2世代のベクター系の開発し、実際にこれらのベクター系をもちいて造血幹細胞など多くの幹細胞の増殖や分化において重要な働きを有したリガンド分子であるsteel(sl)遺伝子のほか、新たにそのレセプターであるc-kit遺伝子対するコンディショナルレスキューマウスの系統の樹立を進め、現在までに遺伝子が導入されたマウス系統をそれぞれ複数系統得ることに成功した(文部科学省新学術領域研 先端モデル動物支援プラットフォーム支援)。また平行してこれまでに作成を終えたコンディショナルレスキューマウスの組織特異的、また発生時期特異的な遺伝子機能の解析に必要とされるP0-Cr, ER2-Cre等のトランスジェニックマウス系統の遺伝子背景を交配実験に必要とされる目的の遺伝子背景へと変換を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに作成した、初代型のコンディショナルレスキューマウスと同様に、第2世代のコンディショナルレスキューベクターをもちいて作成された新規のコンディショナルレスキューマウスにおいても、sl c-kit遺伝子変異マウスで観察される、メラノサイトの移動障害を原因とする毛色の白色化がレスキューされ、毛色が黒色化したコンディショナルレスキューマウス系統が確認されている。これら結果は我々が開発したコンディショナルレスキュー法が一般的な多くの遺伝子に対しても有効的に機能する手法であることを証明する結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も引き続きコンディショナルレスキュー遺伝子が導入されたトランスジェニックマウスより、目的とする機能を有したslならびにc-kit遺伝子に対するコンディショナルレスキューマウス系統の樹立を進める。さらに得られたコンディショナルレスキューマウスと特異的Cre発現マウス系統との間で交配を進め、得られたF1マウスの解析により、これら遺伝子の組織特異的また発生時期特異的な機能の解析を進める。 その他コンディショナルレスキューマウスの作成効率を高めるため、Rosa26遺伝子領域などの安定的な遺伝子の発現が期待される領域にCRISPR-Cas9システムをもちいて簡便にコンディショナルレスキューベクターをノックインする新たな手法の開発を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響を受け、動物関連実験の縮小や遅延が生じ、一部の実験が執り行えなかったため。本年度の進捗状況に合わせて適宜使用する。
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Research Products
(1 results)