2021 Fiscal Year Research-status Report
HTLV-1水平感染様式解明に向けた霊長類モデルを用いた生殖器官での感染動態解析
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21K06007
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
関 洋平 国立感染症研究所, 次世代生物学的製剤研究センター, 研究員 (30631915)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HTLV-1 / STLV-1 / 水平感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、国内では水平感染により年間約4,000人の新規HTLV-1感染者が発生しており、特に高齢女性における水平感染のリスクが他の年代に比べ高いことが分かっている。しかし、性感染による水平感染の実態については未だ十分に明らかとなっていない。加えて、ヒト由来の生殖器官サンプルを用いて解析を行うことは困難である。一方、HTLV-1感染のサロゲートモデルとしてSTLV-1に自然感染しているニホンザルが注目されている。ニホンザルSTLV-1はHTLV-1と約90%の相同性を有しており、遺伝子的にも機能的にも同等であると考えられている。そのため、本研究ではSTLV-1感染サルを用いて水平感染様式を明らかにすることを目的としている。はじめに、7〜30歳齢の感染個体4頭を用いて生殖器官におけるプロウイルスDNA量を測定したところ、興味深いことに脾臓に加えて卵巣や膣において高いPVLが検出された。さらに組織学的な解析を行うため、STLV-1プラス鎖mRNAの共通領域であるtax/rex mRNA 3rd exon、並びにマイナス鎖mRNAの共通領域に対する検出用プローブ (pX・SBZ probe) を構築し、組織中のmRNA を超高感度に検出・視覚化可能なRNA in situ ハイブリダイゼーション(ISH)法の確立を行った。感染サル由来脾臓を用いて解析した結果、いずれのプローブにおいてもウイルスRNAが検出され、特にpX probeでは白碑髄上で局所的な強い染色像が観察された。これはSTLV-1を標的とするISH法が機能していること、そして脾臓のリンパ濾胞にウイルスリザーバーが存在することを示唆している。以上のことから、STLV-1感染サルは水平感染様式解明のための動物モデルとして有用であると考えられ、今後、確立したISH法を用いてさらに解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本解析において鍵となる技術であり、組織中のmRNA を超高感度に検出・視覚化可能なRNA in situ ハイブリダイゼーション(ISH)法を確立することに成功した。また、解析の対象となるSTLVー1感染ニホンザルサンプルを必要数入手することができたことから、今後の解析を予定通り進められると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、確立したRNA in situ ハイブリダイゼーション(ISH)法を用いて、膣を中心とした生殖器官におけるウイルスリザーバーの局在や感染標的細胞についての解析を進め水平感染様式を明らかにすると共に、性別や年齢の違いよる感染リスクの変化を規定する宿主側因子を明らかにする。これらの成果によって、新たな水平感染防止戦略の創出につながる重要な知見が得られると期待される
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Causes of Carryover |
論文投稿に際し、アクセプト後の論文投稿料を確保していたが支払いが翌年度以降になったために次年度使用額が生じた。 使用計画に変更はない
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Research Products
(2 results)