2022 Fiscal Year Research-status Report
多層的なクロマチン構造破綻による造血幹細胞老化メカニズムの解明
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21K06011
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中西 未央 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (70534353)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 幹細胞老化 / 分化バイアス / クロマチン高次構造 / クロマチンループ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は全身の炎症性老化の原因となる造血幹細胞(HSC)老化の知られざるクロマチン構造破綻メカニズムを解明し、その誘導因子を明らかにすることである。 初年度(2021年度)は少数の細胞をもちいた転写因子・クロマチン高次構造調節因子局在の新規網羅的解析法の検討をおこない、マウス1匹に由来するHSCをもちいた複数のクロマチン修飾解析・HSCサブセットの解析を可能とする技術的基盤を確立した。第二年度(2022年度)では老化による骨髄球分化・アポトーシス抑制関連遺伝子の活性型ヒストン獲得、および分化関連転写因子とHSCにおけるヒストン修飾変化との関連について得られたデータ解析を完了させ、老化による多層的クロマチン変化を明らかにした。これらの進展をもとに最終年度(2023年度)ではヒストン修飾変化を引き起こす因子の探索と同定をめざす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
第二年度(2022年度)では初年度に確立した少数の細胞をもちいた転写因子・クロマチン高次構造調節因子局在の新規網羅的解析法をもちいて若齢および老齢マウス由来の造血幹細胞(HSC)のクロマチン修飾状態の変化を詳細に解析した。従来の報告では技術的制約により複数個体から回収したHSCをもちいて解析していたのに対し、本研究では同一個体由来のHSCをもちいて複数のクロマチン修飾の局在を解析・比較した。これによって、特に老齢個体間に見られる大きなvariabilityを明らかにするとともに、これまで知られていなかった老化による骨髄球分化・アポトーシス抑制関連遺伝子の活性型ヒストン獲得、および分化関連転写因子とHSCにおけるヒストン修飾変化との関連を見出した。 以上の研究発展は学会シンポジウム等でその成果が発表されて高い関心を集め、関連する自他の複数の発展的研究課題ともシナジックにむすびついて更なる共同研究開始・競争的研究資金獲得につながるなど、その抗老化研究における高い意義と発展性が認知されつつある。 第二年度中には研究環境上の事由により一時研究の停滞を余儀なくされるなどの障害があったが、それにもかかわらず上記の研究実施計画を超えた進捗を達成できたことから、当初計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
一部の分化関連転写因子と老化HSCにおけるクロマチン構造変化との関連について、当該転写因子のノックダウンや局在変化の解析等により更なる検証をおこなう。また現在進めている少数細胞をもちいたクロマチン高次構造(特にエンハンサー・プロモーターループ)の高効率な解析手法開発を継続し、稀少な組織幹細胞老化解析の新たなストラテジー発展をめざす。これらの進展について研究期間内に論文発表する。
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