2022 Fiscal Year Research-status Report
カリウムチャネルKcsAの脂質内高分解能構造解析によるゲーティング機構の解明
Project/Area Number |
21K06030
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高崎 寛子 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (50610432)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 啓史 福井大学, 学術研究院医学系部門, 講師 (50324158)
安永 卓生 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (60251394)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 膜タンパク質 / クライオ電子顕微鏡 / 単粒子解析 / ナノディスク / チャネルタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イオンチャネルのモデルタンパク質であるKcsAの構造解析を行い、多様に存在するイオンチャネル間の共通のゲーティング機構を明らかにすることを目的としている。ナノディスク技術を用いて、生体内と同じ脂質二重膜内に存在するKcsAを精製し、中性溶液中の閉構造、酸性溶液中の開構造をクライオ電子顕微鏡単粒子解析法を用いて明らかにする。 本年度は、精製脂質を用いてKcsAを含むナノディスクを形成させ、形成条件の最適化に成功した。使用した脂質は、KcsAの活性が確認されている、POPEとPOPGの3:1混合脂質である。この脂質混合液、membrane scaffold protein(MSP)のうちMSP1D1(ナノディスク直径9.6 nm)とKcsAをさまざまな量比で混ぜたのち、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて、分子サイズごとに分取した。分取した溶液を用いてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、MSP1D1とKcsAがともに存在することを確認した。さらに、負染色法により電子顕微鏡で形状を確認した。その結果、均質な大きさのナノディスクが観察され、さらにKcsAがナノディスク内に埋め込まれたような像を得ることができた。 今後は、ナノディスクに組み込まれたKcsAを大量精製し、クライオ電子顕微鏡観察を行う。大量データ収集可能な観察サンプルのスクリーニングを行った後、実際のデータ収集と単粒子解析を行う。すでにKcsAの可溶化に実績のあるアンフィポールを用い、クライオ電子顕微鏡・単粒子解析法により大量データ収集と高分解能構造解析を行い、それをナノディスクでの解析に応用する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
精製脂質を用いてKcsAを含むナノディスク形成に成功したが、それまでのスクリーニングにやや時間を要した。また、クライオ電子顕微鏡用試料に十分な濃度での精製が行えなかったため、実際の観察には至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで、ナノディスク形成の条件検討では中濃度のKcsAを用いていたが、高濃度のKcsAを用いてKcsAを含むナノディスクを高濃度精製し、クライオ電子顕微鏡での観察を行う。 また、すでにKcsAの可溶化に実績のあるアンフィポールを用い、クライオ電子顕微鏡により大量データ収集と高分解能構造解析を行い、それを、ナノディスクでの解析に応用する。
|
Causes of Carryover |
購入したい物品の金額が、次年度使用額よりも大きく、翌年度分と合算して購入することとした。
|
Research Products
(3 results)