2021 Fiscal Year Research-status Report
エンザイム型RNase P(PRORP)によるtRNA成熟化反応の構造基盤解明
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21K06032
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寺本 岳大 九州大学, 農学研究院, 助教 (80868993)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 立体構造解析 / クライオ電顕単粒子解析 / tRNA成熟化 / リボヌクレアーゼ / RNA関連タンパク質 / 分子進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
酵素の多様性とダイナミックな分子進化関する知見を得るために、本研究計画は、エンザイム型RNase Pに注目し研究を進めいている。本件では、エンザイム型RNase P-基質複合体の立体構造を決定し、エンザイム型RNasePの反応機構の構造基盤を原子レベルで解明することを目指している。 本年度のの研究では、新たに見つかった細菌・古細菌のもつエンザイム型RNase Pの構造決定をクライオ電子顕微鏡単粒子解析によって成功した。この酵素は、アミノ酸配列レベルでは、今まで知られていたエンザイム型RNase Pと比べて、半分以下であり、この酵素がどのように酵素機能を発揮しているのか不明であった。そこで先ず、最小サイズのエンザイム型RNase Pの立体構造を、クライオ電子顕微鏡を使って決定した。このエンザイム型RNase Pは、12分子が集まって星型の多量体構造を形成していた。さらに、基質tRNA前駆体との複合体モデルを検討することで、この酵素は12量体を形成することによって、巨大RNAからなるリボザイム型と同じようにtRNA特有のエルボー領域を認識して、tRNA前駆体の特異的切断を達成している可能性が高いことを明らかにした。これは収斂進化の結果であり、RNAの役割がタンパク質へ移行する過程で、最小のタンパク質でも機能を持つための生命の戦略と考えることができる。今後は、従来より知られていたエンザイム型RNase Pと合わせて新規エンザイム型RNase Pも基質複合体構造を決定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の目標であるエンザイム型RNase P-基質複合体の立体構造を決定には、まだいたっていないものの、新たに新規のエンザイム型RNase Pの立体構造を決定することができ、原著論文として発表した。さらに、この新規酵素も含めてエンザイム型RNase P-基質複合体の構造解析を試みており、初期データであるが、基質tRNA前駆体と酵素を改変し、クライオ電顕単粒子解析によって、複合体の初期電顕マップを得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
基質tRNA前駆体と酵素をさらに改変し、構造解析に適したものする。これにより、従来より知られていたエンザイム型RNase Pと合わせて新規エンザイム型RNase Pも基質複合体構造を決定する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において、学会参加などの出張を行わなかっため、旅費を使用しなかった。 本研究遂行のために、次年度使用額は、物品費、放射光施設・クライオ電子顕微鏡使用料に用いる。
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