2023 Fiscal Year Annual Research Report
抗微生物ペプチドCryptdin-4多量体の膜透過過程と活性機構の解明
Project/Area Number |
21K06037
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
依田 隆夫 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (50367900)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分子動力学シミュレーション / 抗微生物ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の研究対象である Crytpdin-4 (Crp4)はマウスの小腸で発現しているα-ディフェンシンの一つである。脂質二重層と相互作用している抗微生物ペプチドの高分解能一分子観察が可能な全原子分子動力学シミュレーションは有力な研究手段であるといえる。 本研究において我々は、Crp4の抗菌作用機構を明らかにするため、陽溶媒全原子分子動力学法を活用した研究を行なっている。2022年度までに (1) 脂質分子の頭部、溶媒の水、およびイオンの膜法線方向の分布の解析, (2) 脂質二重層内部でCrp4複合体が観察されたシミュレーションの延長, (3) ベシクルからの漏出実験で用いられる低分子化合物のgeneral AMBER force field (GAFF)によるモデル化と、同化合物を含んだ系における膜形成シミュレーション (4) Crp4膜透過の自由エネルギー曲線解明のためのシミュレーション条件の検討を行った。2023年度は(4)を継続するとともに (5) ベシクルからの漏出実験で用いられる蛍光色素と消光剤のGAFFによるモデル化と、同化合物を含んだ系における膜形成シミュレーションを行った。(5)では、2022年度とは異なる種類の蛍光色素と消光剤の組み合わせについて、Crp4と共に膜内部に侵入しうることを示唆するデータが得られた。 α-ディフェンシンに属する抗微生物ペプチドは折れ畳まれた立体構造が互いに似通っているがアミノ酸配列は多様であり、また、抗菌作用機構にも相当な多様性が存在している。この多様性は立体構造そのものではなく、アミノ酸配列、あるいはペプチド分子の表面の性質やその分布に起因すると考えられ、抗微生物ペプチドの作用における脂質、水、低分子やイオンとの相互作用を解明することは重要である。よって本研究の成果は抗微生物ペプチドの作用機序の理解に資すると考えられる。
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