2021 Fiscal Year Research-status Report
Aggregation process of amyloid-beta peptides on a membrane on a lipid membrane studied by computer simulation
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21K06040
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
伊藤 暁 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 助教 (90595381)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分子シミュレーション / アミロイドベータペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
アミロイドベータペプチド(Abeta)が凝集し、オリゴマー及びアミロイド線維を形成することでアルツハイマー病が引き起こされると考えられている。Abetaには、主に、アミノ酸残基数の異なるAbeta40とAbeta42が存在する。Abeta40とAbeta42の違いはC末の2アミノ酸残基のみであるが、Abeta42の方が凝集能が高いことが知られている。これは、Abeta42に凝集を促進する要素が存在することを示している。したがって、Abeta40とAbeta42の凝集過程の違いを明らかにすることで、Abetaの凝集に不可欠な要素を明らかにすることで可能である。そこで、本年度はクーロンレプリカ置換法を用いてAbeta40及びAbeta42の二量体形成過程の解明を試みた。シミュレーションの結果、Abeta42では、分子内構造としてβ-ヘアピンを形成しやすいことが分かり、このβ-ヘアピンがAbeta42のオリゴマー形成を促進していることが明らかになった。また、Abetaの凝集の鍵となるアミノ酸残基を特定することにも成功した。シミュレーション結果の妥当性を検証するために、鍵となるアミノ酸残基を変異させたAbetaの凝集実験も行った。この結果、変異体では野生型と比較して、その凝集が大幅に抑制されることが明らかになり、シミュレーション結果が妥当であることがことが分かった。また、この鍵となるアミノ酸残基はAbeta40及びAbeta42の凝集において、それぞれ異なる役割があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は脂質膜上でのAbetaの凝集過程における脂質膜の役割の解明である。本年度は比較対象となる水中でのAbeta凝集過程の解明に成功した。今後は、この研究を発展させて、脂質膜上でのAbetaの凝集過程を調べる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
水中でのAbetaの凝集過程の分子シミュレーションと同様に、脂質膜存在下でのAbetaの凝集過程の分子シミュレーションを行う。即ち、クーロンレプリカ置換法を用いることでAbetaに関する効率的な構造サンプリングを実現し、Abetaの凝集過程を原子レベルで調べる。
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Causes of Carryover |
(理由) 参加を予定していた学会がオンライン開催へと変更され、旅費が計上されなかったため。 (使用計画) 2022年度に開催される予定の理論化学会、蛋白質科学会、生物物理学会の年会へ参加するために使用する。
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