2023 Fiscal Year Annual Research Report
Aggregation process of amyloid-beta peptides on a membrane on a lipid membrane studied by computer simulation
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21K06040
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
伊藤 暁 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 助教 (90595381)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分子シミュレーション / アミロイドベータペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内でアミロイドベータペプチド(Aβ)の凝集を促進していると考えられている幾つかの要因が報告されている。その一つは神経細胞膜に多く存在するGM1ガングリオシドで、GM1ガングリオシドが他の脂質分子と凝集して形成した脂質ラフト上でAβの凝集が促進されると考えられている。しかしながら、AβがGM1ガングリオシドを含む脂質ラフト上でどのような構造を形成しているのかは不明であった。 そこで、固体核磁気共鳴分光法及び分子動力学シミュレーションを用いて、GM1ガングリオシドを含む脂質膜上でのAβの立体構造を調べた。その結果、Aβは脂質膜上で2つの反平行分子間βシート構造を持つオリゴマーを形成していることが分かった(ACS Chem. Neurosci. 14 (2023) 2648)。 この研究に加えて、天然由来のポリフェノールであるミリセチンおよびロスマリン酸がAβの凝集を阻害する機構の解明にも取り組んだ。Aβとして、16番目から22番目の残基から成るフラグメントAβ(16-22)を採用し、分子シミュレーションを行った。シミュレーションの結果、ミリセチンはAβ(16-22)の疎水性残基に、ロスマリン酸はAβ(16-22)の荷電性残基にそれぞれ結合することで、Aβの凝集を抑制することが分かった(Biophys. Physicobiol. 20 (2023) e200045)。 研究期間全体を通じて、Aβが水中および脂質膜上で形成するオリゴマー構造の解明に取り組み、その研究成果を論文として出版した。また、Aβの凝集過程だけでなく、凝集抑制の過程の解明にも取り組み、研究成果を論文として出版した。
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