2023 Fiscal Year Research-status Report
Time-resolved XFEL crystallography for DNA photolyase
Project/Area Number |
21K06042
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
別所 義隆 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 客員研究員 (70242815)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | DNAフォトリアーゼ / ピリミジン二量体 / 光回復酵素 / XFEL / 時分割結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAフォトリアーゼは、紫外線曝露により生じるDNAピリミジン二量体の損傷を修復する酵素である。その反応には可視の青色光のエネルギーを必要としており、光回復酵素として知られている。この研究では、この酵素の光回復反応において、分子間反応のダイナミクスを構造化学的に明らかにすることを目的とする。我々は、古細菌Methanosarcina mazeiのクラスII-CPDフォトリアーゼ(MmCPDII)をターゲット酵素に選定した。この酵素は、高分解能のX線結晶構造が既に報告されており、また分光学的特徴もよく知られているのでこの研究に最適な材料である。昨年度までに、XFEL実験で使用する液体ジェット噴出装置の規格に合うようにMmCPDII単体のマイクロ結晶をを大量に作成することに成功し、SACLAのBL2ビームラインにてXFELを照射することで回折データを取得する方法を確立した。今年度、MmCPDIIの酸化型および還元型結晶構造のモデルを構築し、酸化還元状態によって酵素に内包されるフラビン補酵素のイソアロキサジン環に構造差異があることを見出した。これを受けて、酵素の光還元反応がどうのように進むか時系列を調べる目的で、時分割実験の試料条件を検討し、XFEL測定法をデザインした。また、XFELの生物試料イメージングも高度化するために、高度好熱菌Thermus thermophilusの細胞やタンパク質を追加のターゲットに選定した。XFEL回折から生細胞の低分解能イメージを取得した。今後XFEL測定用の封入チップを結晶に使用できるように再設計する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
古細菌Methanosarcina mazeiのクラスII-CPDフォトリアーゼ(MmCPDII)単体と損傷DNA複合体のマイクロ結晶を効率よく作成する条件を見出した。結晶に混ぜる充填剤を最適化し、SACLA施設にてXFELビーム照射によるX線回折データ取得に成功した。単体タンパク質の構造解析の結果、酸化還元状態によって酵素に内包されるフラビン補酵素に差異があることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAフォトリアーゼ損傷DNA複合体のマイクロ結晶の作成条件を最適化し、SACLAのXFELビームで構造解析に適した回折データセット取得を目指す。従来のX線では分からなかった放射線損傷のない正確な結晶構造を解明し、更には時分割測定により光修復反応のダイナミクスを明らかにする。
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Causes of Carryover |
理由:既存の機材や実験材料を使用して効率よく研究を進めた。研究課題は計画通り進んでいる。 使用計画:研究課題が当初の計画以上に進展するように、次年度使用額を効率よく使用する。
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