2022 Fiscal Year Research-status Report
オルガネラ間コンタクトを担う低親和性タンパク質複合体の溶液NMR解析
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21K06047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古板 恭子 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任助教(常勤) (30727665)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 溶液NMR / 膜コンタクトサイト / VAMP-associated protein / LLPS |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体膜貫通タンパク質Vesicle-associated membrane protein Associated Protein (VAP)は小胞体と他のオルガネラあるいは細胞膜とのコンタクトサイトにおけるタンパク質間相互作用を担うタンパク質である。VAPのN末端側にあるMajor Sperm Protein (MSP)ドメイン(VAPMSP)は、FFAT-likeモチーフと呼ばれる非常に多様な配列を結合することが知られている。VAPMSPとFFAT-likeモチーフの相互作用は様々な細胞機能に重要であることが示されている。しかし、VAPMSPがどのように多様な配列を認識しているのかは不明である。 本年度は13C標識VAPMSPと非標識のFFAT-likeモチーフを含むペプチドからなる試料を用い、溶液NMRを用いて13CフィルターNOESY測定を行った。この測定では、理論的には標識分子と非標識分子の間で互いに近接した水素原子がある場合にのみ信号が観測される。測定の結果いくつか信号が確認でき、VAPMSPとペプチドは結合していると考えられた。また、化学シフトの帰属ができれば原子レベルでの分子間相互作用の情報が得られると考えられた。次にVAPがFFAT-likeモチーフが相互作用する際に液液相分離(LLPS)する可能性があるため、VAPMSPがin vitroでLLPSするかどうかを検証した。その結果、いくつかの条件下でLLPSすることが確認できた。LLPS形成条件の検討により、特に酸性低温条件でLLPSしやすい傾向があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
溶液NMR法によりVAPMSPとFFAT-likeモチーフの原子レベルの相互作用情報を得られる可能性が出てきた。また、VAPMSPがLLPSすることを発見した。これはFFAT-likeモチーフとの相互作用にも関係する可能性がある。これらのことから、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
FFAT-likeモチーフとVAPMSPとの詳しい相互作用情報を得るために、分子間NOE情報の解析を進める。また、LLPSしたVAPMSPのNMR測定を行うための条件検討を行う。適切な条件が見つかれば、LLPSしたVAPMSPのNMR測定を行い、LLPS形成に関わるVAPMSP間での相互作用やLLPS形成時のFFAT-likeモチーフとの相互作用について知見を得る。
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Causes of Carryover |
研究室の引越しがあり、予定通り実験が遂行できないことがあったため次年度使用額が生じた。繰り越し額は次年度のサンプル調製のための消耗品に当てる。
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