2023 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラ間コンタクトを担う低親和性タンパク質複合体の溶液NMR解析
Project/Area Number |
21K06047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古板 恭子 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任助教(常勤) (30727665)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 溶液NMR / 化学シフト摂動実験 / VAMP-associated Protein / FFATモチーフ / FFAT-likeモチーフ / 膜コンタクトサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度には、弱い分子間相互作用の検出および解析のための化学シフト摂動(CSP)実験の解析手法および解析プログラムの開発を行った。CSPとは、タンパク質などの受容体単独と受容体にリガンド候補を加えた時とのピーク位置の差のことで、CSP値から受容体とリガンド候補との結合の有無や受容体におけるリガンド結合部位および結合力の情報が得られる。通常弱い相互作用ではCSPの値が小さい。開発した手法では、CSPに誤差を付加することで、従来は情報として用いられなかった小さいCSPからも信頼性の高い情報を得ることを可能にした。開発した手法とプログラムを用い、VAPMSPに対するSorting nexin-2(SNX2)のFFAT-likeモチーフによるCSP実験の結果を解析した。VAPMSPとSNX2との結合は弱いが、この手法によりSNX2のFFAT-likeモチーフの中ほどからC末端領域はFFATモチーフの結合サイトに結合するが、N末端領域はFFATモチーフの結合サイトとは異なる領域に結合することが示唆された。 期間全体を通して本研究課題では弱い相互作用研究のためのCSP解析手法を開発し、FFAT-likeモチーフの配列を含む11種類のペプチドとVAPAとの結合についてCSPおよびNMR滴定実験により解析した。その結果、次のことが分かった。①FFAT-likeモチーフの中ほどからC末端領域はFFATモチーフの結合サイトに結合するが、N末端領域はFFATモチーフとは結合サイトが異なりうる。②FFAT-likeモチーフとVAPMSPとの結合定数は数 mMであり、通常のFFATモチーフより1桁以上大きい。③比較的強く結合するFFAT-likeモチーフはフェニルアラニン残基及びアラニン残基を含み、これらはVAPMSPの表面にある2つの疎水性ポケットと相互作用する。
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Research Products
(3 results)