2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K06055
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
的場 一晃 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 研究員 (60613792)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは隔離膜が伸展し分解対象を囲い込む、細胞内分解機構の一つである。一連の隔離膜伸長過程では膜が伸びるが、その伸展にはAtg2やAtg9が脂質を輸送、スクランブルすることが必要である。一方でAtg9とAtg2の活性によって実際に膜変形が引き起こされるのかどうかは明らかではない。 そこで単一巨大リポソーム(GUV)を用いた試験管内実験により、膜変形の観察を行うことを計画している。本年度はその準備としてAtg2の脂質輸送活性をGUVで検出する系を構築した。具体的にはマイクロキャピラリー(内径8μm)を用いて、一定の圧力でGUVを吸引し、捉える。次に2本目のマイクロキャピラリーでAtg2-Atg18を振りかけた。その結果、GUV表面にはAtg2-Atg18が局在したが、吸引しているキャピラリーの内側はAtg2ーAtg18がアクセスできないため、局在しなかった。次に、3本目のキャピラリーでスモールリポソーム(SUV)を添加した。するとSUVからGUVに脂質の移動が観察された。 次にタンパク質構造の予測にAlphafoldを用い、Atg2全長の構造を予測した。その構造からAtg2脂質輸送活性が機能しない変異体を設計した。このタンパク質は試験管内で、二つのリポソームを繋ぎ止める活性はあるものの、酵母の中ではオートファジーが正常に機能しないことがわかった。この変異体Atg2を用い、GUVーSUV間の脂質輸送を見たところ、野生型と比べて、変異体では活性が低下していた。現在、再現性を確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では3本のマイクロキャピラリーをマニュピレーターで操作する必要があり、その習熟に時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
GUVを使った実験系はほぼ確立した。しかし本研究機関に設置されていた、共焦点マイクロキャピラリーシステムは、共同研究者の異動により北海道大学に移設された。そのため、今後は北海道大学に出張し、利用させてもらう計画をしている。
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Causes of Carryover |
当初計画していたクライオ電子顕微鏡解析は進んでいないため、測定にかかる費用、消耗品等を購入していない。一方、今後北海道大学に出張が、多く見込まれることからその費用に充てる予定にしている。
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