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2021 Fiscal Year Research-status Report

Exploration of uncoupling mode of sarcoplasmic reticulum Ca2+ pump

Research Project

Project/Area Number 21K06058
Research InstitutionAsahikawa Medical College

Principal Investigator

山崎 和生  旭川医科大学, 医学部, 講師 (60241428)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsカルシウムポンプ / イオン輸送 / 脱共役
Outline of Annual Research Achievements

私がこれまでSRV由来のSERCA1aを様々な脂質組成のナノディスクに組み込み反応速度論的解析を行っていた際、ある脂質組成においてリン酸化中間体の消失のタイムコースに疑問を抱き、リン酸放出との整合性を測定したところ、大きな不一致があることに気づいた。SERCA1aの反応スキーム上ではEPの消失とCa2+の輸送は厳密に共役しており、リン酸の放出もEPの減少と一致するはずである。それが一致しないということは、ATP分解とCa2+輸送とが脱共役していることを示していた。さらにこの現象はより一般的な脂質組成でも起こることが確認され、SERCA1aの本質的な性質であることが示された。その後組み換えSERCA1aを用いた実験を極小スケールで行い、SLN非存在下では反応初期のみ脱共役し、時間とともに共役が強くなる2相性になることを確認した。またSRVではほぼ1相性であること、溶存ガスの影響を示唆するデータなどを得ていた。
これらの予備実験は5年近く前に行われたものであり、その再現性を確かめるため再び同じ実験を試みた。その結果、現時点で作成されるカルシウムポンプをナノディスクに組み込んだ標品は、以前の標品と少し異なる挙動を示すことが分かった。標品の調製において様々な改良を加えてきた結果、持ち込みの夾雑物が除かれた結果ではないかと考えられる。これにより現時点の標品は安定性が低下しており、脱共役が起きる環境下では再現性に問題が生じていると考えられた。現時点の標品ではリン酸放出が計算値より高い傾向が強く、脱共役の解析に向いているのではないかともかんがえられる。現在この標品を用いて、安定的に脱共役及び共役を制御する条件を探索している

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

以前に得られたデータでは低濃度ATP添加後リン酸放出の時間経過を追いかけると、初期にEPの消失速度を上回る速いリン酸放出が観測されたのち、リン酸放出速度が遅くなる明確な2相性が再現良く得られていたが、現時点のナノディスク埋め込み標品では、初期相が極めて不安定であり、リン酸放出のタイムコースが大きくばらつく結果となっている。これは以前の標品と現在の標品で何らかの差異があるものと考えられた。現時点のサンプルを用いて、リン酸化中間体の蓄積量と消失速度から期待されるリン酸放出速度と実際のリン酸放出速度を比較すると、期待されるリン酸放出をはるかに上回るリン酸放出が起こっており、現サンプルは恒常的に脱共役しているように見えている。しかしながらリン酸放出のタイムコースが大きな変化を示していないのにもかかわらず、完全な共役を示す例があり、この共役-脱共役を制御する因子が何かを探索中である。予備実験で可能性として挙がった反応液中のガス濃度や温度、ミキシング方、塩濃度などあらゆる可能性について検討中であり、ようやく結果が安定しつつある。またN2雰囲気下での測定が簡便にできるよう、簡易チャンバーを作成し運用を始めている。

Strategy for Future Research Activity

現在はフォスファチジルコリン(POPC)に埋め込んだSERCA1a標品に対して再現良く共役-脱共役を制御する条件を検討中であるが、その条件が固まれば、今後脂質組成を変えて解析を進める予定である。その予備実験の一環としてナノディスクの脂質環境とSERCA1aの活性との関連を行い、単一脂質環境ではnativeな膜環境でのSERCA1aの特性を再現するには不十分であることを示すことができた。この結果を踏まえ脂質環境と脱共役との関連を探ってゆく。またSERCA1aの制御タンパクとして知られている、サルコリピンと一緒に再構成したSERCA1aナノディスク標品を用いた解析も考えており、骨格筋小胞体膜標品からサルコリピンを精製して準備をしている。今後の進捗状況によりサルコリピンが脱共役を引き起こすメカニズムについて迫っていきたいと考えている。

Causes of Carryover

本年度中にカナダで行われる国際学会に出席し、本課題の内容について発表、意見交換を行う予定であったが、COVID-19パンデミックのため延期となりその分の交通費が未執行となった。この国際学会は2022年度に開催予定のため、その出席のための旅費として使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Angle change of the A-domain in a single SERCA1a molecule detected by defocused orientation imaging2021

    • Author(s)
      Katoh Takanobu A.、Daiho Takashi、Yamasaki Kazuo、Danko Stefania、Fujimura Shoko、Suzuki Hiroshi
    • Journal Title

      Scientific Reports

      Volume: 11 Pages: 13672

    • DOI

      10.1038/s41598-021-92986-3

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 筋小胞体カルシウムポンプの多機能側鎖Arg324と多種のリン脂質のアンサンブル2021

    • Author(s)
      山崎和生、 大保貴嗣、 Danko Stefania、安田 哲、川辺 淳一、 鈴木裕
    • Organizer
      第94回 日本生化学会
  • [Presentation] 筋小胞体カルシウムポンプの多機能性残基 Arg324 と脂質との相互作用の多様性について2021

    • Author(s)
      山崎和生、 大保貴嗣、 Danko Stefania、安田 哲、川辺 淳一、 鈴木裕
    • Organizer
      日本生体エネルギー研究会第47回討論会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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