2022 Fiscal Year Research-status Report
分泌経路内の亜鉛が制御するタンパク質品質管理機構の解明
Project/Area Number |
21K06060
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
天貝 佑太 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90773896)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小胞体 / 亜鉛 / タンパク質品質管理 / 亜鉛輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、ZIP7阻害剤処理によって細胞から分泌されるタンパク質が変化することを見出し、本年度ではその網羅的な解析を進める計画であった。ZIP7阻害剤処理をしたヒト子宮頸がん由来HeLa Kyoto細胞、またはsiRNAによってZIP7の発現を抑制したHeLa Kyoto細胞を準備し、無血清培地で6時間培養した後培養上精を回収し、限外濾過によって濃縮した。複数回解析し、再現性と定量性を持ったデータ取得を目指したが、実験ごとの再現性がそれほどよくなく、信頼性ある網羅的解析には成功していない。特に、分泌されるタンパク質の総量が実験ごとに異なる傾向があり、細胞培養法や継代回数について条件検討が必要であると思われた。同様に、細胞表面タンパク質への影響を調べるために、細胞表面ビオチン化処理を行い、解析を進めている。 一方で、昨年度までに得られた結果から、ZIP7阻害剤処理をした細胞で異常に分泌が増加する小胞体酵素タンパク質を同定することができていた。このタンパク質は本来小胞体中で機能するので、その基質となる下流分子を解析したところ、やはり細胞中で基質タンパク質への酵素活性が不足していることを示唆する結果が得られた。これは、小胞体中の亜鉛濃度ホメオスタシスが破綻することで、高次の細胞機能が阻害することを示す結果であり、今後この具体的な分子機序について解析を進める必要がある。 また、昨年度樹立したヒトZIP7-FLAGを安定発現するHEK293T細胞を用いて、ZIP7-FLAGタンパク質の発現・精製に成功し、構造解析に向けた条件検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
網羅的解析については実験上の手技が安定しなかったため、目的の結果を得ることができなかった。また、ZIP7によるタンパク質品質管理制御について興味深い結果を得ることに成功しているものの、当初の計画では小胞体、ゴルジ体に局在する4種類のZIPトランスポーター(ZIP7, ZIP9, ZIP11, ZIP13)すべてについての解析に着手する予定であったため、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
網羅的解析のための実験条件の検討を進め、当初の計画を達成する。 ZIP9, ZIP11, ZIP13の解析は遅れているものの、ZIP7に関しては研究が進展しており、重要な結果を取得できているため、まずはこの結果を投稿論文としてまとめて発表することに注力する。
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