2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞老化に伴うミトコンドリア代謝変化の遺伝子発現制御における役割
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21K06061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 翔太 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (00728941)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞老化 / ミトコンドリア / DNA損傷応答 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA損傷やがん遺伝子の活性化などのストレスにより、細胞増殖が不可逆的に停止することを、細胞老化という。細胞老化は、培養細胞において発見された現象であるが、近年、加齢に伴うストレスにより個体内でも起こり、個体老化に促進的に働くことがわかってきた。本年度は、研究代表者が行ったゲノムワイドsiRNA スクリーニングにより、細胞老化との関連が新たに見いだされたタンパク質の機能解析を行った。このタンパク質は、ミトコンドリアに局在し、マイトファジーとの関連が報告されているが、細胞老化における役割は全く知られていない。まず、質量分析法により結合タンパク質を網羅的に同定した。その結果、このミトコンドリアタンパク質が、クリステの形成に関わるmitochondrial contact site and cristae organizing system (MICOS)と呼ばれる複合体と相互作用することがわかった。また、このミトコンドリアタンパク質がDNA損傷応答キナーゼATMによりリン酸化されることを、質量分析法と独自に作成した部位特異的リン酸化抗体を用いて見出した。さらに、このミトコンドリアタンパク質が細胞老化に伴う脂肪酸酸化の亢進に必要であることがわかった。このため、このミトコンドリアタンパク質が、DNA損傷とミトコンドリア代謝変化をつなぐ鍵分子としてはたらき、細胞老化を誘導する可能性があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で着目するミトコンドリアタンパク質の機能と制御メカニズムの一端を明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞老化に伴うミトコンドリア形態の変化を、特にクリステに着目して明らかにしていく。本研究で着目するミトコンドリアタンパク質とMICOSの関連をさらに調べる。
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Causes of Carryover |
少額であり、試薬の購入費などの一部にあてる。
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