2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞老化に伴うミトコンドリア代謝変化の遺伝子発現制御における役割
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21K06061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 翔太 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (00728941)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞老化 / ミトコンドリア / 代謝 / DNA損傷応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに細胞老化との関わりが明らかになったミトコンドリアタンパク質BNIP3の機能解析を進めた。BNIP3はLC3ファミリータンパク質と結合するマイトファジー誘導タンパク質であると考えられている。しかしながら、細胞老化が起こると、おそらくミトコンドリアの伸長を介して、マイトファジーが阻害されることが知られている。われわれも、老化誘導時にBNIP3はオートファジーによる分解はほとんど受けていないことを見出した。また、BNIP3はおそらくMICOSとの相互作用を通じて、細胞老化に伴うミトコンドリアクリステ数の増加に関わることがわかった。前年度までに、BNIP3が脂肪酸酸化の亢進に関わることを見出していた。クリステ数の増加は一般的に脂肪酸酸化を促進すると言われており、前年度までの結果と辻褄が合う。一方で、BNIP3は細胞老化に伴うミトコンドリアの伸長には不要であった。 前年度までにBNIP3が細胞老化に伴う脂肪酸酸化の亢進に必要であることを見出していた。脂肪酸酸化の亢進は、ヒストンのアセチル化を介して、遺伝子発現を制御することが知られているが、BNIP3は細胞老化に伴うヒストンアセチル化の亢進に関わることがわかった。また、脂肪酸代謝酵素をノックダウンすることで、脂肪酸酸化が細胞老化誘導に関わることを見出した。以上の結果から、BNIP3は核ーミトコンドリア間クロストークの鍵分子として、細胞老化を促進すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの結果から予想されたBNIP3とミトコンドリアクリステの関係が明らかになるなど、細胞老化におけるBNIP3の機能解析が進展したため。
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Strategy for Future Research Activity |
BNIP3がクリステを制御する機構を調べるとともに、脂肪酸酸化の細胞老化における重要性をさらに明らかにしたい。
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