2023 Fiscal Year Annual Research Report
細胞老化に伴うミトコンドリア代謝変化の遺伝子発現制御における役割
Project/Area Number |
21K06061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 翔太 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (00728941)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞老化 / ミトコンドリア / 代謝 / DNA損傷応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、細胞老化におけるミトコンドリア代謝変化の役割を、特に本研究で細胞老化との関連が見出されたミトコンドリアタンパク質であるBNIP3に着目して解析した。前年度までにBNIP3が脂肪酸をアセチルCoAに変換する代謝経路である脂肪酸酸化を細胞老化に伴い促進することを見出していた。今年度は、安定同位体標識したパルミチン酸を用いたメタボローム解析により、その詳細を明らかにした。脂肪酸の一種であるパルミチン酸からアセチルCoAが作られると、TCA回路などに標識したカーボンが取り込まれる。これを調べたところ、細胞老化に伴いTCA回路のクエン酸などへのカーボンの取り込みが増加することがわかった。TCA回路に加えて、アセチルカルニチンへのカーボン取り込みの増加が特に顕著であった。脂肪酸酸化は呼吸鎖に依存することが知られている。BNIP3が呼吸鎖複合体を収容するクリステの数を細胞老化に伴って増やすことを見出していたが、呼吸活性の上昇にも関与することがわかった。前年度までに、細胞老化に伴いp16転写開始点付近のH3K27acが上昇すること、これが脂肪酸酸化の活性化によっても上昇することを見出していた。今年度は、ほかのヒストンアセチル化や周囲のDNA領域に対象を広げて解析を行った。以上の解析から、BNIP3がミトコンドリアの構造と代謝を変化させることが、細胞老化の誘導に重要であると考えられる。
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