2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K06062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
椛島 佳樹 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任助教 (00580573)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カルシウムポンプ / phospholamban / クライオ電子顕微鏡 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では心筋における調節ペプチドであるphospholamban(PLN)による筋小胞体Ca2+ポンプの活性調節メカニズムを原子レベルで理解することを目的としている。PLNはSERCAへのCa2+結合を妨げることで活性を抑制し、βアドレナリン信号による燐酸化を受け抑制状態を解除する。SERCA-PLN系は心筋細胞内のCa2+レベル調節の要であるため、医学的にも極めて重要であり、本研究による薬剤開発の発展も期待できる。令和3年度は、① COS-アデノウイルス蛋白質発現系を用いたSERCA-PLN融合蛋白質の大量生産系の構築、② クライオ電顕を用いた原子構造決定のための試料作製条件の最適化を行った。 ① SERCAとPLNを20個のGly残基で連結した融合蛋白質が同様の制御を受けることが報告されており、まずは本研究でも20個のGlyでSERCAとPLNを遺伝子工学的に連結することを試みた。小スケールでの一過性発現実験では、融合蛋白質の発現量はSERCA単独と比較し、低い傾向にあったが、活性検出に十分な量を得ることができた。さらに、PLNの燐酸化・非燐酸化状態でのSERCAとの相互作用の違いを調べるために、疑似燐酸化変異を導入した融合蛋白質も作製した。現在、野生型及び疑似燐酸化変異体の2種の融合蛋白質について、大量生産に向けたアデノウイルスの調製を行っている。 ② 融合蛋白質の発現系構築と並行して、ウサギ骨格筋から調製した筋小胞体Ca2+ポンプ(SERCA1a)を材料として、電顕観察用の試料作製条件の最適化を行った。グリッドの種類や急速凍結の条件等の検討を行い、おおむね単粒子解析法に適した試料作製条件を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに野生型と疑似燐酸化変異体の2種の融合蛋白質を発現するためのアデノウイルスベクターの作製が完了している。また、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析法についても着実にノウハウは蓄積しており、期間内での目的達成は十分に可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
迅速な構造決定のために、まずはクライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析法での構造決定を目指す。所属する研究所にクライオ電子顕微鏡が導入されており、月に1~2回ほどのマシンタイムを確保している。また、PLNの動きを制限するという観点からは、結晶解析の方が有利であると考えられるので、大量生産の準備が整い次第、結晶化実験も並行して進める。
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Causes of Carryover |
初年度にはクライオ電顕データ解析用のワークステーションを購入予定であったが、予備実験の段階では他予算で購入したワークステーションが使用可能であったため見送った。しかし、現在はデータ量の増加に伴い既存のマシンのみでは対応できない状況である。そこで、令和4年度には新たに解析環境の整備を行いデータ解析の効率化を図りたい。その他はクライオ電顕使用料、電顕観察試料作製用消耗品、蛋白質精製用消耗品などが主な用途である。
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