2021 Fiscal Year Research-status Report
局所細胞外リン脂質代謝による全身的代謝免疫変容の新規調節機構
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21K06063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 弘泰 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (50546629)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リン脂質代謝 / ホスホリパーゼA2 / 脂肪酸 / リゾリン脂質 / メタボリックシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではリン脂質代謝酵素ホスホリパーゼA2(PLA2)分子群、特に細胞間連携を担う分泌性酵素sPLA2を切り口として、細胞外リン脂質代謝によるメタボリックシンドローム制御の新機軸の創成を目指す。具体的には、(1)褐色脂肪細胞に発現誘導されるsPLA2によるエネルギー代謝調節、(2)上皮組織と代謝組織を結ぶ遠隔臓器連関に着目し、多系統のsPLA2欠損マウスをツールとして、sPLA2を起点として動員される脂質代謝経路とそれによる代謝調節の新規メカニズムを解明する。 (1)褐色脂肪細胞に基づくエネルギー代謝調節:全身性sPLA2-IIE欠損マウスに寒冷刺激およびβ3アドレナリン受容体作動薬投与を施すと褐色脂肪組織の活性化が抑制された。寒冷刺激を施した際の褐色脂肪組織のリピドミクスを行うと、sPLA2-IIE欠損マウスの褐色脂肪組織では様々な遊離脂肪酸が非選択的に減少することが確かめられた。 (2) 遠隔臓器変容に基づく代謝調節 表皮から代謝への遠隔変容について:皮膚特異的sPLA2-III欠損マウスに高脂肪食を与えると、全身性sPLA2-III欠損マウスと同様に肥満の表現型が改善した。皮膚特異的sPLA2-III欠損マウスの皮下脂肪において熱産生関連遺伝子の発現が上昇していたことから皮膚特異的sPLA2-III欠損マウスはエネルギー消費が亢進している可能性が示唆された。 大腸から代謝への遠隔変容について:sPLA2-X欠損マウスに高脂肪食を与えると、肥満や大腸の炎症が増悪し、大腸上皮バリアが破綻していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように研究は計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)褐色脂肪細胞に基づくエネルギー代謝調節 脂肪細胞特異的sPLA2-IIE欠損マウスににおける褐色脂肪細胞の機能評価を行う。sPLA2-IIE欠損により減少する脂肪酸、リゾリン脂質、またはその代謝物を網羅的に探索する。寒冷刺激を施したsPLA2-IIE欠損マウスの血漿または褐色脂肪組織から単離したエクソソームのリン脂質、脂肪酸、脂肪酸代謝物の組成を野生型と比較検討するとともに、エクソソームにsPLA2を添加してリン脂質分解を評価する。 (2)遠隔臓器変容に基づく代謝調節 表皮から代謝への遠隔変容について:皮膚特異的sPLA2-III欠損マウスにおいて2型免疫へシフトしているのか、また脂肪細胞のベージュ化を評価する。 大腸から代謝への遠隔変容について:全身性sPLA2-X欠損マウスのにおいて糞便中の微生物ゲノムを次世代シークエンサーにより分析する。血中のメタボローム解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初の見込みより物品費、旅費の使用額が抑えられたため次年度使用額が生じた。 次年度使用計画として、、国内学会出張費、投稿論文の英文校正費、論文投稿費および印刷費として使用する。 残りの経費を試薬消耗品、器具消耗品、実験動物管理維持費、特殊試料 (高脂肪食)として使用する。
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Research Products
(1 results)