2022 Fiscal Year Research-status Report
Sorting mechanism of processing enzymes to the secretory granules.
Project/Area Number |
21K06070
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
穂坂 正博 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (80311603)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分泌顆粒 / ペプチドホルモン / 選別輸送 / プロセッシング酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
内分泌細胞の分泌顆粒でペプチドホルモン前駆体は、分泌顆粒膜上に集積する様々な活性化酵素によって切断・修飾され生理活性のあるホルモンに成熟する。しかし、ホルモン前駆体と活性化酵素群がともに分泌顆粒に選別輸送される分子機構については未だ解明されていない。そこで、本研究では、分泌顆粒基質のセクレトグラニン II および III(Sg2、Sg3)に着目し、これらの分子がこのホルモン前駆体と活性化酵素群の共輸送過程で果たす役割を、Sg2-、Sg3-欠損 (KO) マウスを活用して生化学的手法で検討する。 本研究課題では、内分泌細胞株およびSg2やSg3の遺伝子欠損マウスを活用して、具体的に以下の3点を明らかにする。 A. Sg3がホルモン活性化酵素を分泌顆粒に選択的に集積させる仕組みの解明:これまで申請者が進めてきたSg3の生化学的解析を発展・深化させ、Sg3と各ホルモン活性化酵素との直接的相互作用の検証や結合ドメインの同定、Sg3と結合する新規分子の網羅的探索を行い、ペプチドホルモン前駆体に活性化酵素群を集積・近接させる分子機構を明らかにする。 B. Sg2がホルモン活性化酵素を分泌顆粒に選択的に集積させる仕組みの解明:Sg3/CgA系とは独立して分泌顆粒形成に寄与するSg2がどのようにホルモン活性化酵素群を分泌顆粒に集積させ機能させるかについて、上記Aと同様に生化学的手法で明らかにする。 C. Sg2にもSg3にも依存しないホルモン活性化機構の有無の検証:上記AとBの解析結果を踏まえて、ペプチドホルモン活性化過程でSg2とSg3の2つのグラニンが必須かどうかを、Sg2/Sg3-DKOマウスを作出・解析して明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度について下記の研究を行い、さらに現在解析を続けている。 A-1) Sg2, Sg3およびプロセッシング酵素群について、新規抗体を作製して免疫沈降法で結合解析を行なった。各グラニンタンパク質とプロセッシング酵素タンパク質群で明確な違いを得られた。 A-2) SG3はホルモンだけではなく顆粒内修飾酵素を運ぶことを明らかにした(論文準備中)。 B-1) WT, Sg2-KOマウス、Sg3-KOマウスの脳下垂体からmRNAを精製しDNAアレイによるデータを比較することで、視床下部-脳下垂体-副腎系ホルモンがSg2, Sg3で別個の制御を受けることを新たに見出した。現在はqRT-PCRを利用してホルモン放出因子の発現量を比較検討している。 C-1) Sg2-KOマウス、Sg3-KOマウスを掛け合わせることでSg2/Sg3ダブルヘテロマウスを作製(済)して、さらにSg2/Sg3-ダブルノックアウトマウスの作出を目指している。各ノックアウトマウスとダブルヘテロマウスを用いてSg2とSg3の機能を解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 2022年度に得たグラニンタンパク質群とプロセッシング酵素群の組み合わせについて対象となるホルモン前駆体を調べる。 2) Sg2/Sg3-ダブルノックアウト(DKO)マウスの作出を目指す。またダブルヘテロ(DHKO)マウスの作出に成功しているので、並行してDHKOマウスの解析からSg2とSg3の機能を明らかにする。
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