2021 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアDNAのヘテロプラスミー維持と遺伝における膜ダイナミクスの役割
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21K06080
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小笠原 絵美 大阪大学, 理学研究科, 助教 (70778274)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミトコンドリアDNA / ヘテロプラスミー / ミトコンドリアダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳動物細胞では単一細胞内に数百から数千コピーのミトコンドリアDNA (mtDNA) が存在しており、mtDNAに変異が導入されると正常型mtDNAと変異型mtDNAの混在するヘテロプラスミーと呼ばれる状況になる。ヘテロプラスミーにおいては、変異型mtDNAの割合(変異率)が一定値を超えて高くなると、ミトコンドリア機能が低下し、様々な疾患と関連することが知られている。本研究ではmtDNAの選別と遺伝様式の解明を目指すことを目的に、「ミトコンドリアの融合・分裂」やそれに伴う「mtDNAの配置・分布」を含むミトコンドリアの動的特性に着眼したヘテロプラスミーの制御機構の解析を行う。 今年度は、変異mtDNA含有マウスよりMEFを作成し、様々な変異率で変異型mtDNAを含有する一連の細胞系列の樹立に成功した。これらの細胞系列を解析することで、変異率とミトンドリア形態及びmtDNAの分布との関係性、またその制御における分子基盤の詳細が明らかになってきた。様々な変異率の細胞に対してsiRNAを用いてミトコンドリア膜形態の制御因子や核様体関連因子などの遺伝子を抑制し解析を進めた。その結果、変異型mtDNAの遺伝制御において重要な複数の候補因子が同定できた。さらに、これらの細胞の解析からヘテロプラスミー細胞におけるミトコンドリア膜及びmtDNAの配置・分布の変化によるミトコンドリア機能制御における分子機構が明らかなってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異型mtDNAを様々な変異率で含有する一連の細胞系列を新たに樹立し、これらの細胞を用いてミトコンドリア膜のダイナミクスの視点から解析を進めることができた。ヘテロプラスミー状態におけるミトコンドリア膜変化が及ぼす変異mtDNAの遺伝制御の分子機構に加えて、ミトコンドリア機能維持における分子機構の両面から理解を進めることができ、概ね当初の目的通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、樹立した一連の細胞系列を用いて変異mtDNAの遺伝制御の解析を進める。さらに、個体におけるmtDNA遺伝制御の解析を進めるために変異mtDNA含有マウスを用いた研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初予期していなかった新たな知見が得られたため、その成果を進展させるために多くの消耗品等の購入が予想されるので繰り越した。また、参加予定の学会がオンライン開催になったために旅費の一部を繰り越した。繰り越した助成金を踏まえて、次年度の研究をさらに発展・推進させる。
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