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2022 Fiscal Year Research-status Report

心疾患に関連する新奇生理活性物質 D-グルタミン酸の分解酵素に関する研究

Research Project

Project/Area Number 21K06085
Research InstitutionKitasato University

Principal Investigator

片根 真澄  北里大学, 薬学部, 准教授 (90383653)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
KeywordsD-グルタミン酸シクラーゼ / D-グルタミン酸分解酵素 / D-グルタミン酸 / 5-オキソ-D-プロリン / D-ピログルタミン酸 / 心臓 / D-アミノ酸 / 比色定量法
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、遊離の D-グルタミン酸(D-Glu)の分解酵素として最近同定した、哺乳類 D-Glu シクラーゼ(DGLUCY;D-Glu を 5-オキソ-D-プロリン[5-オキソ-D-Pro]と水に分解する反応を可逆的に触媒する酵素)の代謝機構の全貌を解明することである。この目的に向けて、DGLUCY 活性の迅速で簡便な測定法の開発のほか、DGLUCY の構造機能相関の解明を試みる。
2021 年度には、吸光度計を用いた比色定量に基づく迅速で簡便な DGLUCY 活性の新規測定法について解析した。その結果、5-オキソ-D-Pro の 2-ニトロフェニルヒドラジン塩酸塩による誘導体化反応の最適な条件を決定した。また、比色定量法による 5-オキソ-D-Pro の感度を解析した。その結果、96-well プレートを用いた比色定量法が、我々が以前に開発した高速液体クロマトグラフィーを用いた測定法(HPLC-UV 法)よりも低感度である一方で、384-well プレートを用いた比色定量法は HPLC-UV 法よりも高感度であることが明らかになった。
2022 年度は、比色定量法が、DGLUCY の酵素活性の測定に適用可能かどうかを解析した。すなわち、比色定量法を用いてマウス組換え DGLUCY の D-Glu に対する動力学定数を決定し、HPLC-UV 法を用いて決定した値と比較した。その結果、比色定量法を用いて DGLUCY の酵素活性を正確に測定できることが明らかになった。また、野生型および DGLUCY ノックアウトマウスそれぞれから樹立した培養細胞株の抽出液を酵素源として DGLUCY 活性を測定することにより、本法の正確性とともに頑健性を解析した。その結果、比色定量法を用いて細胞可溶化液中における DGLUCY の酵素活性を正確に測定できることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究の研究計画は、(1)吸光度計を用いた比色定量に基づく迅速で簡便な DGLUCY 活性の新規測定法を開発することと、(2)哺乳類 DGLUCY の構造機能相関を解析することである。また、上記(1)の具体的な研究計画は、(1-1)5-オキソ-D-Pro が 2-ニトロフェニルヒドラジン塩酸塩で誘導体化される反応の最適な条件を決定すること、(1-2)本法の感度を解析すること、(1-3)マウス組換え DGLUCY の D-Glu に対する動力学定数を決定し、本法を用いて DGLUCY の酵素活性を正確に測定できるかどうかを解析すること、および(1-4)野生型および DGLUCY ノックアウトマウスそれぞれから樹立した培養細胞株の抽出液を酵素源として DGLUCY 活性を測定し、本法の正確性と頑健性を解析することであった。一方、上記(2)の具体的な研究計画は、(2-1)マウス DGLUCY の全長、N 末側領域のみ、および C 末側領域のみそれぞれを大腸菌で発現させて精製し、それらの DGLUCY 活性を測定することで、N 末側と C 末側のどちらの領域に活性中心が存在するのかを解析すること、(2-2)活性中心を含む領域の三次元構造をコンピュータ内でモデリングし、基質とのドッキングシミュレーション解析により活性中心残基を推定すること、および(2-3)推定したアミノ酸残基にアミノ酸置換変異が導入された DGLUCY を大腸菌で発現させて精製し、その DGLUCY 活性を測定することで、推定したアミノ酸残基が実際に活性中心残基として機能していることを確認することであった。
2022 年度は、主に上記(1)の研究を進め、(1-3)および(1-4)が終了した。すなわち、計画していた研究全体の 50% 程度が進行したと思われる。したがって、本研究は「やや遅れている」と考えられる。

Strategy for Future Research Activity

2023 年度は、哺乳類 DGLUCY の構造機能相関を解析する。具体的には、マウス DGLUCY の全長、N 末側領域のみ、および C 末側領域のみそれぞれを大腸菌で発現させて精製し、それらの DGLUCY 活性を測定することで、N 末側と C 末側のどちらの領域に活性中心が存在するのかを解析する。さらに、マウス DGLUCY の活性中心を含む領域の三次元構造をコンピュータ内でモデリングし、基質とのドッキングシミュレーション解析により活性中心残基を推定する。また、推定したアミノ酸残基にアミノ酸置換変異が導入された DGLUCY を大腸菌で発現させて精製し、その DGLUCY 活性を測定することで、推定したアミノ酸残基が実際に活性中心残基として機能していることを確認する。

Causes of Carryover

2022 年度は、体調不良により研究の実施が困難であった期間があった。そのため、次年度使用額が生じた。
2023 年度は、翌年度分として請求した助成金と合わせて、哺乳類 D-グルタミン酸シクラーゼ(DGLUCY;D-グルタミン酸を 5-オキソ-D-プロリンと水に分解する反応を可逆的に触媒する酵素)の構造機能相関を解析する。具体的には、マウス DGLUCY の全長、N 末側領域のみ、および C 末側領域のみそれぞれを大腸菌で発現させて精製し、それらの DGLUCY 活性を測定することで、N 末側と C 末側のどちらの領域に活性中心が存在するのかを解析する。さらに、マウス DGLUCY の活性中心を含む領域の三次元構造をコンピュータ内でモデリングし、基質とのドッキングシミュレーション解析により活性中心残基を推定する。また、推定したアミノ酸残基にアミノ酸置換変異が導入された DGLUCY を大腸菌で発現させて精製し、その DGLUCY 活性を測定することで、推定したアミノ酸残基が実際に活性中心残基として機能していることを確認する。

  • Research Products

    (10 results)

All 2023 2022

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (7 results)

  • [Journal Article] Identification of a novel D-amino acid aminotransferase involved in D-glutamate biosynthetic pathway in the hyperthermophile Thermotoga maritima2022

    • Author(s)
      Tetsuya Miyamoto, Toshiyuki Moriya, Masumi Katane, Yasuaki Saitoh, Masae Sekine, Kumiko Sakai-Kato, Tairo Oshima, Hiroshi Homma
    • Journal Title

      The FEBS Journal

      Volume: 289 Pages: 5933~5946

    • DOI

      10.1111/febs.16452

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Characterization of human cystathionine γ-lyase enzyme activities toward D-amino acids2022

    • Author(s)
      Tetsuya Miyamoto, Yasuaki Saitoh, Masumi Katane, Masae Sekine, Kumiko Sakai-Kato, Hiroshi Homma
    • Journal Title

      Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry

      Volume: 86 Pages: 1536~1542

    • DOI

      10.1093/bbb/zbac151

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] YgeA is involved in L- and D-homoserine metabolism in Escherichia coli2022

    • Author(s)
      Tetsuya Miyamoto, Yasuaki Saitoh, Masumi Katane, Masae Sekine, Hiroshi Homma
    • Journal Title

      FEMS Microbiology Letters

      Volume: 369 Pages: fnac096

    • DOI

      10.1093/femsle/fnac096

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 超好熱菌由来 O-アセチルホモセリンスルフヒドラーゼは複数の酵素活性を有する2023

    • Author(s)
      宮本 哲也、齋藤 康昭、関根 正恵、片根 真澄、加藤 くみ子
    • Organizer
      日本薬学会 第 143 年会
  • [Presentation] 植物における推定 D-アミノ酸代謝酵素の機能解析2023

    • Author(s)
      関根 正恵、中山 穂南、西川 なつみ、片根 真澄、宮本 哲也、齋藤 康昭、本間 浩、加藤 くみ子
    • Organizer
      日本薬学会 第 143 年会
  • [Presentation] 線虫 C. elegans の老化過程におけるキラルアミノ酸の HPLC 分析2022

    • Author(s)
      菅 創佑、齋藤 康昭、宮本 哲也、関根 正恵、片根 真澄、本間 浩、加藤 くみ子
    • Organizer
      第 33 回 クロマトグラフィー科学会議
  • [Presentation] モデル植物シロイヌナズナにおける推定 D-アミノ酸アミノトランスフェラーゼの機能解析2022

    • Author(s)
      中山 穂南、西川 なつみ、田中 碧、関根 正恵、片根 真澄、宮本 哲也、齋藤 康昭、本間 浩、加藤 くみ子
    • Organizer
      第 33 回 クロマトグラフィー科学会議
  • [Presentation] 超好熱菌 Thermotoga maritima における D-グルタミン酸合成に寄与する新規 D-アミノ酸アミノトランスフェラーゼの同定および機能解析2022

    • Author(s)
      宮本 哲也、森屋 利幸、片根 真澄、齋藤 康昭、関根 正恵、大島 泰郎、本間 浩、加藤 くみ子
    • Organizer
      第 95 回 日本生化学会大会
  • [Presentation] 超好熱菌 Thermotoga maritima の O-アセチルホモセリンスルフヒドラーゼの D-アミノ酸代謝能の解析2022

    • Author(s)
      宮本 哲也、齋藤 康昭、関根 正恵、片根 真澄、加藤 くみ子
    • Organizer
      第 23 回 極限環境生物学年会
  • [Presentation] 細胞内外で異なる機能を持つ線虫 D-アミノ酸代謝酵素2022

    • Author(s)
      齋藤 康昭、片根 真澄、宮本 哲也、関根 正恵、本間 浩、加藤 くみ子
    • Organizer
      第 45 回 日本分子生物学会年会

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Published: 2023-12-25  

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