2021 Fiscal Year Research-status Report
The importance of NGLY1 on the chemoresistance of triple negative breast cancer
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21K06092
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤平 陽彦 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (50721057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀本 義哉 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40424246)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NGLY1 / トリプルネガティブ乳がん / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年はまずトリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞株を用い、NGLY1の発現量の違いが、各細胞の薬剤耐性にどのような影響をもたらすかを解析した。その結果、予備的知見でも示した通り、endogenousなNGLY1の発現量が低い細胞の方が薬剤(ドキソルビシン、どセタキセル)に対する耐性が高いことの再現が確認された。次に、同一細胞内でNGLY1の発現量の違いがTNBCの薬剤耐性に影響を及ぼすかの検証に関しては、siRNAを用いたNGLY1のノックダウンにより、NGLY1の発現低下により細胞の薬剤耐性が高くなることが確認された。本来であれば、NGLY1をノックアウトして薬剤耐性が変化するのかを検証したいところであったが、FBS2というタンパク質の発現量が高いとNGLY1を単独でノックアウトできないことがわかっており(Yoshida Y., et al, PNAS, 118(27), 2021)、TNBC細胞ではFBS2の発現が高かったため、NGLY1をノックダウンするアプローチを採用した。また、NGLY1の発現量の低下が薬剤耐性の上昇に結びつくメカニズムとしては、NGLY1との機能的関連性が示されているFBS2やNFE2L1が関与するプロテオスタシスの破綻を当初想定していたが、それを示唆するような結果は今のところ得られていない(ユビキチン化タンパク質の蓄積、小胞体ストレス応答など)。しかしながら、NGLY1の発現量の違いによる薬剤耐性の違いには細胞周期への影響が大きく寄与していることがわかってきたので、現在、その部分を追及中である。臨床サンプルを用いた解析に関しては、症例数の追加が必要な状況ではあるが、NGLY1の染色強度が低い患者ほど治療効果が低い(薬剤耐性が高い)という傾向が見られているので、今後、症例数を増やして結論づける。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた培養細胞を用いた検証に関しては、おおむね予定通りに完了することができた。また、NGLY1の発現量がTNBC細胞株の薬剤耐性に影響するメカニズムに関しても、細胞周期への影響という一つの候補メカニズムを同定できた。臨床サンプルを用いた解析に関しても、解析を進め、期待していた傾向が見られることが確認できた。したがって、研究全体としてはおおむね計画通り、順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、(1)TNBC細胞を用いた薬剤耐性の検証に関して追加で別の薬剤を検証すること、(2)NGLY1の発現量の違いがTNBCの薬剤耐性に影響するメカニズムとして、NGLY1が細胞周期にどのように影響しているかの解析、(3)他のメカニズムとしてDNA修復に寄与する遺伝子発現の変化などの解析、(4)症例を追加して臨床サンプルを用いた解析を進めること、(5)ヌードマウスを用いたin vivoでの検証、に取り組み、多角的な方面から得られた結果をまとめ、NGLY1とTNBCの薬剤耐性との関連性について結果をまとめる。
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Causes of Carryover |
当初想定していた解析と異なる方向性の解析(プロテオスタシスの解析の予定が細胞周期の解析になった)になったことによる試薬金額の違い(プロテオスタシスを解析する抗体よりも細胞周期を解析する染色剤の方が安価)などの理由により、次年度使用額が生じた。
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