2022 Fiscal Year Research-status Report
The importance of NGLY1 on the chemoresistance of triple negative breast cancer
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21K06092
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤平 陽彦 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (50721057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀本 義哉 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40424246)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NGLY1 / トリプルネガティブ乳がん / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞株を用いて、NGLY1の発現量の違いが、TNBC細胞の薬剤耐性にどのような影響をもたらすかの解析に取り組んだ。昨年度までに、内在性のNGLY1発現量の違いがTNBC細胞の薬剤耐性に影響をもたらすこと、同一細胞内でのNGLY1のノックダウンも同様にTNBC細胞の薬剤耐性に影響をもたらすこと、を明らかにした。今年度は、そのメカニズム解明に取り組んだ。昨年度の結果により、NGLY1の細胞周期への影響が示唆されていたが、専門家との議論をもとに、細胞周期を調べる方法の再検討が必要とわかったため、その再検討を行った。再検討した手法により、コントロールとして用いたHeLa細胞の野生型とNGLY1-KOでは、確かにNGLY1欠損が細胞周期に影響を与えることが確認できたが、TNBC細胞ではコントロールと同一の条件では細胞周期の制御ができず、TNBC細胞においてNGLY1の発現量が細胞周期に影響するという明確な結果が得られなかった。そのため、他の可能性を探るべく、TNBC細胞においてNGLY1のノックダウン前後で変化する遺伝子発現の解析に取り組んだ(トランスクリプトーム解析)。データ量が膨大なため、完全には解析を終えられていないが、細胞周期よりも細胞分化や発生に関する遺伝子変化の方が影響を受けていることがわかった。TNBC細胞の薬剤耐性獲得の関連分子として知られているDNA修復に関する遺伝子の有意な変化も確認された。当初予想していたNGLY1と機能的関連性が示されているFBS2やNFE2L1が関与するプロテオスタシスに関連するような遺伝子の有意な発現変化は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TNBC細胞株を用いた研究に関しては、昨年度行った細胞周期に関する実験をやり直し、得られた結果が昨年度までと異なったことから、NGLY1がTNBC細胞の薬剤耐性へ寄与するメカニズムの解明において、どのようにアプローチするかを根本から考え直す必要が出たため、全体として進捗が遅れている。臨床サンプルを用いた研究に関しては、細胞レベルでの研究の結論が出ていないこと、該当する臨床サンプルの数が元々少ないことなどから、予定していた追加検体の確保ができず、当初の予定よりも進捗が遅れている。細胞レベルでの解析に時間をとられたため、当初予定していたヌードマウスを用いた検証には手をつけられなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に入るため、どのように得られた結果をまとめ、論文として発表するかに力を入れて取り組む。TNBC細胞を用いた解析に関しては、今年度得られたトランスクリプトーム解析の結果を精査し、NGLY1がTNBC細胞の薬剤耐性に寄与するメカニズムに関連する分子・経路などの目星をつける足がかりとし、何とかメカニズムの一端を明らかにする。臨床サンプルを用いた解析に関しては、可能であれば追加検体を用いた解析に取り組むが、追加検体の確保が難しい場合は、これまでに得られた結果をまとめ、TNBC細胞と臨床サンプルを用いた解析結果をまとめて論文化を目指す。論文化後、ヌードマウスを用いた検証にも取り組み、NGLY1とTNBCの薬剤耐性との関連性について、結果をまとめる。
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Causes of Carryover |
当初想定していた解析と異なる方向性(プロテオスタシスの解析の予定が細胞周期などの解析になった)になったことによる試薬金額の違い、トランスクリプトーム解析で得られた結果の解析に時間をとられ、想定よりも実験を進めることができなかったことなどの理由により、次年度使用額が生じた。
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