2021 Fiscal Year Research-status Report
分子動力学計算と機械学習を援用してタンパク質の構造変化を予測する
Project/Area Number |
21K06094
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原田 隆平 筑波大学, 計算科学研究センター, 准教授 (60612174)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 分子動力学計算 / 異常検知 / タンパク質の構造変化 / レアイベントサンプリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, タンパク質の機能発現に関係する構造変化を効率的に抽出する計算手法を開発する. これらの構造変化は, 従来の分子動力学計算(MD)で追跡できる時間スケールよりも長時間スケールにおいて誘起される「レアイベント」であり, 抽出することが難しい. 研究代表者はこの問題に対し, 遷移確率の高い分子構造からMDをリスタートすることで効率的にレアイベントを抽出する計算手法(PaCS-MD: Parallel Cascade Selection MD)を開発した. PaCS-MDで重要となるのは, リスタートすべき遷移確率の高い初期構造を適切に選定することである. 初年度は, PaCS-MDを効率的なレアイベントサンプリング手法に発展させるため, 機械学習の一種である異常検知を導入し, 重要な初期構造の選定を目指した. 具体的には, MDが生成するタンパク質構造群から遷移確率の高い分子構造を異常検知に基づき検出するad-PaCS-MDを開発した. 本手法は, あらかじめ安定構造からスタートしたMDが生成するタンパク質構造の時系列データ(トラジェクトリ)を学習し, 異常検知器を構築する. 更に, 検知器を利用して新規にMDを実行した際に生成されるトラジェクトリを異常検知し, これまでに出現したことのない分子構造を選び出す. 異常構造(出現確率が低い分子構造)は, 周囲に存在する準安定構造に遷移する確率が高いとみなすことができるため, ad-PaCS-MDの構造探索の初期構造に利用できる. ad-PaCS-MDの探索効率の検証とし, T4リゾチームおよびマルトース結合タンパク質のOpen-Closed構造遷移が抽出できるか試したところ, 従来のPaCS-MDよりもはるかに効率的に遷移経路を探索することができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PaCS-MDと異常検知を融合させ, ad-PaCS-MDを開発することができたため. また, ad-PaCS-MDのサンプリング効率に関して定量的な評価が完了し, 有用性が示されたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はad-PaCS-MDを様々なターゲットに適用し, アプリケーションを進めていく. 特に多量体系形成過程や解離過程といった複雑なレアイベント抽出に挑戦する. また, ad-PaCS-MDの一般公開を目指し, プログラムやスクリプトの整備を進める.
|
-
-
-
[Journal Article] Split Conformation of Chaetomium Thermophilum Hsp104 Disaggregase2021
Author(s)
Yosuke Inoue, Yuya Hanazono, Kentaro Noi, Akihiro Kawamoto, Masato Kimatsuka, Ryuhei Harada, Kazuki Takeda, Ryoichi Kita, Natsuki Iwamasa, Kyoka Shibata, Keiichi Noguchi, Yasuteru Shigeta, Keiichi Namba, Teru Ogura, Kunio Miki, Kyosuke Shinohara, Masafumi Yohda
-
Journal Title
Structure
Volume: 29
Pages: 1-10
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-