2023 Fiscal Year Annual Research Report
Measurement of intracellular pH as a marker of dedifferentiation in eukaryotes
Project/Area Number |
21K06099
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
森本 雄祐 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (50631777)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発生 / 脱分化 / 細胞内pH / シグナル伝達 / 蛍光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、細胞性粘菌の細胞分化と脱分化に伴う細胞質pH変化を、高感度な分化・脱分化マーカーとして捉える計測手法を確立することを目指している。これまでに、開発した高感度pHイメージング手法を用いることで、細胞性粘菌の柄細胞への分化、および予定柄細胞からの脱分化に伴う細胞質pH変化を1細胞レベルで計測することが可能となっている。本年度は、分化マーカーのコントロールとして、柄細胞の分化トリガーとして働くことが知られているc-di-GMPの多細胞体内での可視化を行った。c-di-GMPは、バクテリアで広く働くシグナルであり、バクテリアでは細胞内で働くシグナルを可視化する蛍光プローブが開発されている。このバクテリア由来の蛍光プローブを細胞性粘菌に導入し、発生に伴うc-di-GMPシシグナルの変動を計測したところ、多細胞体の柄細胞形成期に多細胞体先端でc-di-GMPシグナルが局所的に上昇することを明らかにした(Ide et al., Front Cell Dev Biol. 2023)。これは、柄細胞分化のこれまでの知見と時空間的に一致するものであった。また、真核生物内では、細胞性粘菌だけが唯一、細胞内でc-di-GMPをシグナルとして合成・利用することが知られている。このため、今回の成果は、世界で初めて真核生物内で働くc-di-GMPシグナルを可視化したものである。c-di-GMPシグナルと、細胞質pH変動の多細胞体内での空間的な局在性は完全には一致しておらず、細胞分化に伴うpH変動は、c-di-GMPシグナルとは異なるシグナル経路を見ていることが示唆された。
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