2021 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質構造に基づいたアブラナ科植物の自家不和合性を制御する分子の創出
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21K06110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森脇 由隆 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (70751303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村瀬 浩司 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任准教授 (50467693)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生物物理学 / 分子動力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は研究実施計画の1つである「天然のSP11モデル構造からの改変による手法」に基づき、以前に立体構造予測を行ったハプロタイプS32, S36のSP11の予測構造に基づき、対応するSRK分子の結合界面を調査したところ、およそこの2つのSP11にはわずか4アミノ酸の違いによってSRKとの1対1結合が制御されていることを予見した。これを踏まえ、タンパク質モデリングソフトウェアパッケージRosettaを用いた計算機上でのアミノ酸変異を作成し、これらのアミノ酸を残り19種類のアミノ酸に置換したモデル構造とS32, S36との複合体モデル構造との間の結合自由エネルギー変化ΔGを計算によって見積もった。現在のところ、S36-SP11についてN22L, K57M, H59M, E60R変異がS32に対しても新たに結合できる可能性をもつ点変異として計算された。引き続き、複数ハプロタイプのSRKに結合できる人工的なSP11の開発を進めるために、共同研究者との実験による検証を進めることを検討する。 また、2021年7月頃に登場したAlphaFoldは非常に高い精度でアミノ酸配列から立体構造を予測するソフトウェアとして一躍有名になったが、このAlphaFoldを逆方向に利用して、望ましい構造をとるようにアミノ酸配列を設計する論文も(試験段階ではあるが)少しずつ報告されてきている。研究計画ではDirect coupling analysis(DCA)に基づく手法を記載していたが、これと合わせて、主鎖構造からのアミノ酸配列設計を引き続き検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の「天然のSP11モデル構造からの改変による手法」における計算手法の確立は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験的な検証をこれから行い、その結果次第で本物のアブラナ科植物を使った実験を行うか、また外れていた場合はその結果をもとに再度計算によるモデル構築をやり直す予定である。これと並行して、天然構造の小規模な改変にとどまらないSP11の主鎖骨格のデザイン戦略として研究計画で述べたDirect coupling analysis(DCA)に基づく手法は、昨年登場したディープラーニングベースで作られたAlphaFoldの動作原理を大きく参考にし、また近年登場している論文を調査した上で、共進化情報をうまく取り入れたアミノ酸配列設計を行える手法の模索を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度は新型コロナウイルスの蔓延対策防止のため、複数の国内学会の旅費が不要となってしまったことと、予定されていたスーパーコンピュータ利用費が他の研究費支援のために不要となったため。 今年度は、AlphaFoldの精度の良い構造予測に必要な大容量のストレージとRAMを持つ計算機の購入のためにこの未使用の助成金を活用する予定である。
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