2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study of temperature resistant mechanisms of papain enzymes by single-molecule measurements
Project/Area Number |
21K06115
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
梅村 和夫 東京理科大学, 理学部第二部物理学科, 教授 (60281664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / パパイン / カーボンナノチューブ / フォトルミネッセンス / 耐熱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度は、パパインに加えセルラーゼ、ブロメラインを試料とし、原子間力顕微鏡(AFM)、近赤外顕微鏡、デジタルホログラフィック顕微鏡(DHM)を中心として、分光測定なども併用しながら蛋白質を加熱した場合の挙動について調べた。大きな進捗があったのは近赤外顕微鏡観察で、昨年度の段階では立ち上げになお時間がかかるとの見通しだったが、2種類のバンドパスフィルターを追加することで目的とする発光だけを捕捉することができた。そこで、単層カーボンナノチューブ(SWNT)を付着させたマイクロビーズを顕微鏡観察しながら加熱したパパインなどを添加し、添加による個々のビーズのSWNT発光変化を観測することができた。昨年度実施した近赤外測定に比べ、ビーズ1個での微量測定ができた点などに価値があるので論文投稿し、本報告時点では査読中である。一方、昨年度の研究内容については査読付論文を発表することができた。AFMおよびDHM実験は、加熱によるブロメラインの凝集現象の観察や、セルロースを付着させたSWNTにセルラーゼを添加しての観察、物性測定などを行った。特定の条件でブロメラインが特徴的な形状で凝集する様子などが計測できており、さらにデータを追加して論文発表する予定である。研究期間全体としては、パパイン等耐熱性蛋白質の個々の分子レベルでの挙動を主としてAFMで、SWNTをセンサーとして用いる独自な手法での微量測定を近赤外顕微鏡やDHMで行い、従来の巨視的な分光測定とは異なる知見を得ることができた。耐熱メカニズムの理学的な興味と同時に、バイオデバイスなどへの応用にも本研究の知見が活かされるものと期待される。
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