2021 Fiscal Year Research-status Report
核内構造を介した神経特異的遺伝子クラスターの共制御発現機構
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21K06122
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮地 まり 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (50349255)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 核内構造 / 神経細胞 / 神経特異的遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAトポイソメラーゼ (トポ )IIβはDNAの高次構造を変換する酵素で,私たちはトポIIβが一群の神経特異的遺伝子の発現を誘導,または抑制することを明らかにした.本研究では,トポIIβとゲノム上で共局在する因子であるhnRNP-U (SP120), CTCFに着目し, トポIIβによる神経特異的遺伝子の発現制御機構を明らかにすることを目的とする.トポIIβ,SP120,CTCFは,いずれもDNAにもRNAにも結合する活性がある.SP120は,試験管内で,AT-richなDNAに選択的に結合する.しかしChIP-seq法で同定したSP120結合配列の大部分は,GC-richな配列であった.細胞核内には,RNAも存在することから,RNA存在下でSP120のDNA結合活性を調べたところ,RNA量依存的にDNA結合が阻害された.ポリリボヌクレオチドで調べた結果,poly-Gが最も抑制活性が高かった.SP120結合配列の一部には明確にCTCF結合配列が存在する領域,Satellite I,LINE-1などのRepeat配列,Quad-ruplex配列が存在することが示唆されるが,今回の結果からSP120のChIP-seqで同定されたGC-richな領域において,RNA (または一本鎖DNA)が関与する可能性が示唆された.トポIIβの遺伝子発現制御に対するこれらの領域の機能を今後明らかにする予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による物品納入の遅れによる.繰り越した予算にて次年度に実施予定.
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Strategy for Future Research Activity |
トポIIβの働きによるクラスターとして存在する遺伝子の共発現制御がグローバルな核内DNA配置の変換によるものであるかを検証する.具体的には,未分化,分化,トポIIβ存在下での分化した神経細胞を用いてHi-Cを行い,トポIIβ依存的,分化依存的に脱凝縮,または凝縮するゲノム領域を同定し,クラスターとして存在するトポIIβによって制御される遺伝子群が存在するゲノム領域にどのような変化が起こっているかを網羅的に調べる.
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Causes of Carryover |
コロナ禍で試薬の納品に遅れが出るなど計画通りに進まなかったため。次年度、当該試薬の費用等に充当する。
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