2022 Fiscal Year Research-status Report
核内構造を介した神経特異的遺伝子クラスターの共制御発現機構
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21K06122
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮地 まり 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (50349255)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 核内構造 / 神経細胞 / 神経特異的遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAトポイソメラーゼ (トポ )IIβはDNAの高次構造を変換する酵素で,私たちはトポIIβが一群の神経特異的遺伝子の発現を誘導,または抑制することを明らか にした.本研究では,トポIIβとゲノム上で共局在する因子であるhnRNP-U, CTCFに着目し, トポIIβによる神経特異的遺伝子の発現制御機構を明らか にすることを目的とする.トポIIβ,hnRNP-U,CTCFは,いずれもDNAにもRNAにも結合する活性がある. hnRNP-Uは,試験管内で,AT-richなS/MAR DNAに選択的に結合し,その結合にはN末に存在するSAPドメインが重要と考えられてきた.我々はhnRNP-U欠失変異体を用いてS/MAR DNA 結合活性を解析してC末に存在するRGドメインがS/MAR DNA 結合活性に重要であること,RGドメイン自体にS/MAR DNA結合活性があることを明らかにした.また,AT-rich DNAのminor grooveを認識するNetropsinが RGドメインのS/MAR DNA結合を選択的に阻害することから,RGドメインがAT-rich DNAのminor grooveを認識していることを明らかにした.RGドメインはRNA結合領域を含むことから,hnRNP-UのS/MAR DNA結合活性に対するRNAの効果を検証し,RNAが量依存的にhnRNP-UのS/MAR DNA結合活性を阻害することを明らかにした.細胞核内では,DNA,RNAが液―液相分離により機能的に分画されていることが予想されている.hnRNP-UのDNA/RNA結合活性がその制御に関わる可能性が示唆された(論文値投稿中).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
投稿論文のrevise対応で必要な実験が出たため.
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Strategy for Future Research Activity |
初代培養神経細胞の終末分化過程における遺伝子発現制御機構におけるトポIIβの役割をより明確にするため,遺伝子の位置する領域のゲノム環境とトポIIβの働くタイミング,および発現誘導または抑制のタイミングを解析することによりトポIIβが核内構造の変化を介して遺伝子発現を制御する機構を明確にする予定である.
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Causes of Carryover |
投稿論文のreviseで対応に時間がかかったため,受理後の掲載料を翌年度に支払い予定のため
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