2022 Fiscal Year Research-status Report
eCLIPデータを用いた機能性RNA反復配列の探索
Project/Area Number |
21K06133
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小野口 真広 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), 次席研究員(研究院講師) (30645297)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トランスポゾン / 反復配列 / LINE1 / RNA結合タンパク質 / エンハンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
トランスポゾンなどの反復配列は、マウスやヒトなどの哺乳類のゲノムのおよそ半分を占めるが、その生物学的意義については不明な点が多く、生理的機能についても十分明らかではない。本研究では、ゲノムに存在する反復配列の機能を解明することを目的とする。特に、反復配列が転写されたRNAの状態における機能に着目した。前年度では、ENCODEのeCLIPデータベースについて、独自のパイプラインを用いて解析を行い、反復配列内に存在する機能性RNA配列候補を網羅的に探索した。その結果、多数の機能性RNA配列候補を得ることに成功した。この結果を元に本年度では、機能性RNA配列候補が複数得られた散在反復配列LINE1をモデルとして、実際にどのような機能複合体が結合するのかをRNAアフィニティアッセイにより検討した。その結果、LINE1配列に結合する多数のタンパク質複合体を同定することに成功した。これらのタンパク質複合体には結合が既知のものだけでなく、新規の複合体も多数含まれていた。 また、反復配列の機能を総合的に理解するため、反復配列のゲノム制御における機能という観点からも研究を進めた。ゲノム中に存在する反復配列の機能を調査するため、マウス成体脳をモデルとして、どのような反復配列が重要であるかを検討した。その結果、特定の反復配列が細胞種特異的なエンハンサーの機能に重要であることを示唆する結果を得た。さらに反復配列の機能という観点から、反復配列と疾患の関連についても調査を行った。本研究は、哺乳類における反復配列の機能と生物学的意義の解明に貢献することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LINE1をモデルとして反復配列の結合タンパク質複合体の同定に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
LINE1の結合タンパク質複合体の機能についてさらに詳細な解析を行い、LINE1の機能性RNA配列の特徴を理解する。また、反復配列のゲノムにおける機能についても解析を継続する。
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Causes of Carryover |
前年度からの予算執行の遅れにより、使用計画が遅れている。解析能力の向上のため、計算機およびストレージを新規購入する予定である。
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