2023 Fiscal Year Research-status Report
eCLIPデータを用いた機能性RNA反復配列の探索
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21K06133
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小野口 真広 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), 次席研究員(研究院講師) (30645297)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トランスポゾン / 反復配列 / エンハンサー / 神経前駆細胞 / 1細胞解析 / 大脳進化 / ゲノム進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
トランスポゾン(transposable element, TE)を含む反復配列は、哺乳類のゲノムのおよそ半分を占めるが、その生物学的意義については不明な点が多い。本研究では、ゲノムに散在する反復配列の機能や生物学的意義を解明することを目的とする。本年度は、エンハンサーなどのゲノム制御領域に存在するトランスポゾン由来の配列について解析を進めた。その結果、TEが哺乳類の脳組織において特定の種類の細胞の遺伝子制御に関わる配列モチーフを提供することで、転写因子の結合を誘導し、細胞種の機能獲得に貢献した可能性を明らかにした。特に、マウス脳において、TEの一種であるMER130とMamRep434が、それぞれNeurod2とLhx2転写因子結合モチーフを内在し、グルタミン酸作動性神経前駆細胞において転写因子の結合部位として機能することを明らかにした。MER130とMamRep434由来の遺伝子制御領域は、それぞれAmniota(有羊膜類)とEutheria(真獣類)の祖先において増幅されており、これらの結果は、TEによる遺伝子制御領域の獲得が進化の過程の複数段階で起こり、脳の複雑な機能や形態の獲得に寄与している可能性を示している。 本研究により、グルタミン酸作動性神経前駆細胞に関わる遺伝子制御配列の獲得にTEが多大な影響を及ぼしていることが明らかとなった。これは、従来考えられているような塩基置換の蓄積だけでは大規模な遺伝子制御機構の獲得が十分に説明できないことを意味しており、TEによる配列の大規模な改変が生物進化の有益なトリガーになりうることを示している。一方でTEはゲノム不安定化を引き起こす有害な作用を併せ持つことが知られている。このようなTEの重要な二面性の理解は、哺乳類におけるゲノムの分子進化メカニズムの解明に貢献することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エンハンサーなどゲノム制御領域におけるトランスポゾンの機能およびゲノム進化上の生物学的意義を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
反復配列のゲノムにおける機能について、解析対象を広げさらに進める。
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Causes of Carryover |
研究進捗により、追加で実験・解析する必要が生じたため。解析用PC、学会発表、論文投稿に係る費用に使用予定。
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