2021 Fiscal Year Research-status Report
老化後期におけるCD4キラーT細胞の増加プロセスの解明
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21K06135
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 浩介 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (40624599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 康通 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 教授 (20255467)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 百寿者 / トランスクリプトーム / シングルセル / スーパーセンチナリアン |
Outline of Annual Research Achievements |
110歳を超える長寿の人々は、がんや心臓病のような老化に伴ってリスクの上昇する疾患の多くを免れており、健康寿命が長いことが知られている。本課題では、このような長寿者の末梢血に存在するCD4キラーT細胞がどのように増加したかを明らかにする。 これまでの研究で、110歳以上の長寿者10名を含む合計28名から採血を行い、T細胞を抽出した上で、1細胞レベルのトランスクリプトームデータを創出した。同時に、T細胞の分化や機能に関連する表面タンパク質およびT細胞レセプターのシークエンスデータも得た。これらのデータをヒトゲノムにマッピングし、遺伝子発現量を同定した。同時に、CD4やCD8などのT細胞を特徴づける16種類の表面タンパク質についても発現する分子数の同定を行った。遺伝子と表面タンパク質の発現量に基づいて、Weighted Nearest Neighbor法を使い、主要なT細胞のサブタイプを検出した。このうち、細胞表面にCD4分子を持ち、同時にGZMBなどの細胞傷害性分子を発現するクラスターをCD4キラーT細胞として検出した。 CD4キラーT細胞が占める割合をそれぞれのドナーで調べたところ、これまでの結果と一致して110歳以上のグループで高い値を示し、70-90歳のグループでは最も低くなった。興味深いことに70-90歳のグループにおいてCD4キラーT細胞の比率がスーパーセンチナリアン以上に高くなっているドナーが検出された。これらのことから、CD4キラーT細胞は100歳以上で高くなる傾向にあるが、それ以下の年齢でも増加しうることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
百寿者について得られているT細胞のシングルセルデータについての解析が進み、予定通り研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
シングルセルデータで検出されたCD4キラーT細胞とCD4ヘルパーT細胞は、多くの遺伝子の発現および表面タンパク質の強度が大きく異なり、明確に2つのクラスターに分かれている。今後の解析では、これら2種類の境界領域に存在する細胞について、特にT細胞の活性化に重要な共刺激因子であり、分化度を反映するCD27やCD28に注目し、CD4キラーT細胞とCD4ヘルパーT細胞の中間的な特徴をもつ細胞を特定する。
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Causes of Carryover |
概ね予定通り使用したが、多少の残額出た。
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Research Products
(4 results)