2021 Fiscal Year Research-status Report
機械学習からの特徴抽出法を用いた多様なリガンド認識を生み出す機構の法則性の解明
Project/Area Number |
21K06139
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
白石 慧 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 研究員 (50710729)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 機械学習 / 特徴抽出 / 線形SVM / Substance P / GPCR / MRGX2 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、我々はペプチド-Gタンパク共役型受容体(GPCR)間相互作用を高い精度で予測するSVMモデル、PD-incorporated SVMを開発している。本テーマでは、PD-incorporated SVMが各要素がGPCR残基とペプチド部分配列に帰結することができる特徴量を用いた線形SVMであることを利用し、相互作用の有無の判定に寄与したGPCR残基とペプチド部分配列の組み合わせ(相互作用因子)を抽出することで特異的ペプチドの受容能獲得の分子機構を明らかにする手法を用いて、BAM受容体、およびSubstance P (SP)受容体の活性に重要な相互作用因子を抽出した。 SPを認識することが知られているNK1R、MRGX2では5残基の受容体側相互作用因子が活性に寄与していると推定された。そのうち、TM1, TM3, TM4にそれぞれ存在する3残基がMRGX2と近縁であるがSPを認識しないMRGX1では異なる残基に変異していたため、それら3残基をそれぞれMRGX2型に変異したMRGX1発現ベクターを構築し、SP活性を検証した。その結果、TM3, TM4にそれぞれ存在する2残基を同時に変異したところ、MRGX2の40%の最大活性強度ではあるが、MRGX2とそん色ない50%効果濃度でSPとの応答が確認できた。本相互作用因子抽出法の元になるPD-incorporated SVMは50%効果濃度/50%阻害濃度が1.00e-5Mを超えるか否かのみを学習しているため、相互作用の強弱に関する因子を抽出することはできないが、初期の想定通り活性の有無を決める因子を本手法で抽出できていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、PD-incorporated SVMの各残基、部分配列に対する線形性を用いることで、相互作用に起因すると考えられる残基を抽出するプログラムに基づいてMRGX2-SP間相互作用に起因する相互作用因子を抽出した。また、抽出した相互作用因子として得られた3残基と相同な位置にあるMRGX1(SPと相互作用しない近縁の受容体)の残基をMRGX2に変異したところ2重変異体でSP活性を得たことから、66%のヒット率でMRGX2-SPの相互作用に重要な残基を抽出できている。また、現在MRGX1-BAM間相互作用についても変異体ベクター構築を行っており、計画当初の時間計画に沿って結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
MRGX1とBAM22の相互作用について、上記相互作用因子推定手法を用いて相互作用因子を抽出し、MRGX2に対してMRGX1型の変異を導入することで、MRGX1/2のペプチド特異性を交換出来うるのか検証する。MRGX1/2は霊長類で多重化した遺伝子であり、これらのペプチド認識活性のうちいずれかは近年に獲得されたと推定される。これらMRGXファミリーのBAM/Substance P活性について各生物種のペプチド-受容体ペアの機能レベルでの情報を含んだ分子進化系統解析を行い、どのような変異により特異的ペプチド、及び受容体配列を獲得したのかを視覚的に分類することで、配列に基づいた多様性獲得の一般法則を明らかにする。
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