2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞分裂にリンクした選択的オルガネラ分配機構に関わる遺伝子群探索
Project/Area Number |
21K06148
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
神 唯 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (40802335)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 酵母 / オルガネラ / オルガネラ分配 / 液胞 / 非対称 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オルガネラ分配の非対称性に関する機構を明らかにする研究である。出芽酵母において細胞分裂時に娘細胞にオルガネラを受け渡すオルガネラ分配機構については様々な機構が明らかになってきている。では、母細胞に留まるオルガネラと、娘細胞に分配されるオルガネラは等価であるか?という疑問が出てきた。本研究では、出芽酵母をモデル生物とし、オルガネラのモデルとして液胞(液胞は他の生物におけるリソーソムに相当)を用いている。 顕微鏡を用いた細胞生物学的実験から、ある条件下では、母細胞に留まる液胞と娘細胞に違いがあること示唆する結果を得ている。この選択的オルガネラ分配と呼ばれる現象に関わる遺伝子の探索を目指し、遺伝学的スクリーニングをデザインし、スクリーニングの実施を計画していた。スクリーニング条件選定のため種々の実験から、当初予定していたAtg8遺伝子を用いたスクリーニング系では、富栄養培地でのチェイス培養時のバックグラウンドが高かったため、よりバックグラウンドの低いマーカーを探索した。探索の結果、協力研究室で発見された新規遺伝子Hab1(Highly accumulated in Autophagic Body 1)を用いることでよりチェイス培養時のバックグラウンドが減少した。さらに、Viatal-dyeを用いた液胞膜染色法を併用することで、この現象は当初想定した、分配するか分配しないかという二元論ではなく、量的な制御が入る、より複雑な現象であることがわかってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、コロナ禍での時間的制約のあった中で、遺伝学的スクリーニングのための準備を一歩一歩進めてきた。ライブラリーを用いたスクリーニングのスタートは予定より少し遅れているが、本研究がターゲットにしている機構は、概要に記した通り、当初予定していた現象よりも複雑な現象であることがわかってきた。そのため、研究全体としては、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度より所属が変わり、新たに使用可能な実験手法も身近になり、現在今後の方針を策定中である。基本的には遺伝学的・生化学的スクリーニングの継続および、電子顕微鏡を用いた微細構造の観察を計画している。
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Causes of Carryover |
所属変更が決まっていたため、新しい所属先への研究機器の運搬費として使用予定である。
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Research Products
(3 results)