2022 Fiscal Year Research-status Report
p97ATPase/p47複合体による新規ゴルジ膜係留機構
Project/Area Number |
21K06154
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 久雄 九州大学, 医学研究院, 教授 (20205561)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ゴルジ体 / 膜融合 / p97 / p47 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゴルジ体は細胞の根幹をなすオルガネラであり、扁平膜が積層した特徴的な形態を示す。申請者は、分裂期でのゴルジ体再構成に必須なp97/p47膜融合経路を発見してきた。膜融合には、Rab蛋白質が関与する係留(tethering)複合体による膜係留が必要であると考えられているが、このp97/p47経路における膜係留は不明のままであった。幸いにこの程我々は、p97/p47経路においては、p97/p47自身が、ゴルジ膜上のFTCDと係留複合体形成し、ゴルジ体膜を係留することを見いだし た(EMBO J, 2021)。即ち、p97/p47複合体は、驚くべきことに、膜係留とSNARE primingという二つの機能を一つの膜融合過程で果たしていた。 本研究では、FTCDのゴルジ体膜上の受容体の同定を試みた。ラット肝臓から高度に精製したゴルジ体膜を可溶化して、抗FTCD抗体を用いた免疫沈降により行った。結果、ゴルジ体膜に局在する足場蛋白質であるGM130が同定された。実際、Hela培養細胞を用いた免疫蛍光抗体染色において、FTCDとGM130は強い共局在性をゴルジ体上において示している。また、GM130をミトコンドリア外膜の細胞質側に異所性に発現させた細胞では、内在性FTCDがゴルジ体からミトコンドリアに移動した。さらに、FTCDとGM130のリコンビナント蛋白質を大腸菌から調製し結合実験を行った結果、FTCDとGM130は直接に結合することも明らかとなった。GM130をミトコンドリア外膜に発現させた細胞では、ミトコンドリア凝集が認められたが、FTCD siRNAにより凝集は解消された。従って、GM130-FTCD-p97/p47-FTCD-GM130という巨大な係留装置が機能していると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、新規の膜係留因子FTCDの受容体としてGM130の同定に成功している。 それを受けて今年度には、GM130上のFTCD結合領域を検討したところ、N末領域とC末領域の全く離れた場所に2カ所あることを明らかに出来た。この生物学的意義を明らかにすべく、他のGM130結合蛋白質との競合関係を検討しており、非常に興味深い知見が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
GM130をミトコンドリア外膜に異所性に発現させた細胞系を立ち上げている。この細胞では、ミトコンドリアの凝集が認められ、新規膜係留複合体GM130-FTCD-p97/p47-FTCD-GM130の動態を生細胞で観察することが可能になった。来年度以後は、生化学的手法で新規因子を単離すると共に、この細胞系を使って同定した新規因子の機能をin vivoで検討していく。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の世界的流行の影響で、英国Imperial Collegeとの共同研究に関する部分が遅れている。来年度は、その遅れを取り戻すべく、国際共同研究に関するプロジェクトを行うつもりである。
|