2023 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of peroxisomal protein import and anti-oxidative stress response
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21K06155
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
奥本 寛治 九州大学, 理学研究院, 助教 (20363319)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ペルオキシソーム / リン酸化 / タンパク質輸送 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
生物界に広く存在する抗酸化酵素カタラーゼは、哺乳類ではおもに細胞内小器官ペルオキシソームに局在し、ペルオキシソーム内部で発生する過酸化水素の消去に寄与する。カタラーゼはPex14を中心とするペルオキシソーム膜上のタンパク質輸送装置によってサイトゾルからペルオキシソーム内に輸送される。私達はこれまでに、酸化ストレス負荷時においてPex14のリン酸化が誘導されることでカタラーゼのペルオキシソームへの輸送が選択的に抑制されることを見出し、これがサイトゾル局在性カタラーゼ量の増加を介して細胞の酸化ストレス抵抗性を高める、という新たな抗ストレス応答機構を明らかにした。本申請課題では、このカタラーゼの細胞内局在制御による新たな酸化ストレス応答機構の分子機構を解明する。 本年度は前年度までに同定していた過酸化水素依存的なPex14のリン酸化に関与するキナーゼの解析を継続し、上流キナーゼを含めたPex14のリン酸化に至るシグナル伝達経路の解明を進めている。また、これらのシグナル伝達経路の知見を元に、Pex14のリン酸化を誘導する酸化ストレス以外の誘導源も見出した。酸化ストレスに加えて様々なストレス原への細胞応答にカタラーゼがどのように関与するのかを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過酸化水素によるPex14のリン酸化誘導に関わるキナーゼを同定し、その上流キナーゼ候補も見出した。また、酸化ストレス以外のPex14のリン酸化を惹起するストレス源を明らかにした。Pex14リン酸化を惹起する細胞内シグナル伝達カスケードに関する解析結果をまとめ、国際雑誌に投稿予定である。また、TurboIDを用いた近接依存性標識法により同定したPex14の相互作用タンパク質候補について、ビオチン標識部位の特定とその機能解析を進めている。これらの成果から、ほぼ順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
Pex14のリン酸化に関与するキナーゼと、その上流キナーゼカスケードによるカタラーゼの細胞内局在制御機構についての論文投稿を遂行する。さらに、酸化ストレス以外の様々なストレス源への細胞応答にペルオキシソームおよびカタラーゼが関与する可能性を見出しており、さらなる解析を進める。また、ペルオキシソーム膜タンパク質の配向性の決定に近接依存性標識法が有用であることが示されたことから、不明な点が多いペルオキシソームマトリクスタンパク質の膜透過装置の配向性、およびマトリクスタンパク質の通過経路の推定を推進する。
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Causes of Carryover |
論文投稿費としてその他の経費を計上していたが、投稿決定に至らず次年度使用額が生じた。論文受理のための研究およびトン文投稿費として経費を使用する。
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