2022 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of tight junction maintenance by proteases
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21K06156
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
東 智仁 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (70515072)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 密着結合(タイトジャンクション) / クローディン / EpCAM / セリンプロテアーゼ / 膜繋留型セリンプロテアーゼ(MASP) / 上皮細胞 / ZnUMBA / バリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
密着結合(タイトジャンクション)は、上皮細胞の細胞間を透過する物質の移動を制御・制限することによって、上皮組織のバリア機能を司っています。本研究は、密着結合に生じる微細な破綻が迅速に修復されることによってバリア機能が不断に維持される仕組みについて解析しています。 密着結合は重合したクローディンによって構成されるTJストランドと呼ばれる微細構造を中心として構成されていますが、これまで、低濃度のプロテアーゼが作用すると新規のTJストランドが形成されること、この時にEpCAMという膜タンパク質が部分分解を受けることを見出しました。EpCAMは未重合のクローディン1・クローディン7と複合体を形成しており、プロテアーゼによる部分分解によってこれらのクローディンが解放され、重合できるようになることが分かりました。 EpCAMは内在性のプロテアーゼによって一部部分分解を受けていることから、責任プロテアーゼを探索し、膜繋留型瀬リンプロテアーゼ(MASP)を見出しました。イヌ培養上皮MDCK II細胞に発現する4種類のMASP全てをノックアウトするとバリア機能が低下すること、その低下は、自発的に生じた微細なキズの修復が遅れるためであることを独自に開発したバリア機能ライブイメージングアッセイ系ZnUMBAを用いて示しました。 EpCAM/クローディン7によるバリア機能の修復が生体内でも見られるかを調べるためマウス小腸の免疫染色を行い、細胞が新陳代謝に応じて脱離することが知られている絨毛先端において特異的にクローディン7が重合していることを見出しました。 これらの結果を元に論文を執筆し、2023年初頭にJournal of Cell Biology誌に掲載されました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、3年間かけて検証していくことを計画していた実験のほとんどを2年で終え、論文の採択まで達成できました。さらに、当初は想定していなかった発想を着想し、細胞間接着部位において重合しているクローディンのみを特異的に染色する技術が開発でき、想定している分子機構が実際に生体内でも機能していることを示唆するデータが追加できました。
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Strategy for Future Research Activity |
密着結合は、TJストランドの新規合成と分解のバランスによって恒常性を維持していると考えられています。今回の論文では新規合成の部分に焦点をあてて解析を行いましたが、分解が起きる仕組みはほとんど解明されていません。また、3つの上皮細胞が接する点では、2細胞間の密着結合とは全く異なる仕組みで密着結合(と接着結合)が維持されていることを示唆する結果を得ています。最終年度は、こうした点を解明することをを目指しています。
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Causes of Carryover |
当該年度に発注した試薬・器材の一部が生産・物流の遅延によってまだ納入されていないが、次年度に納入されれば繰越分(次年度使用額)をその購入費用にあてる予定です。
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