2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K06160
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
神 奈亜子 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (90827362)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ゴルジ体 / 液胞 / 選択的輸送 / リソソーム / 出芽酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物において、ゴルジ体は必須細胞内小器官(オルガネラ)であり、その機能維持は生命活動を支える上で重要な役割を持つ。出芽酵母を用いた予備研究において、ゴルジ体上での膜交通に異常が生じると、選択的にゴルジ体タンパク質が液胞へと輸送され分解される現象を見出した。つまり膜交通に異常により活性化される「ゴルジ体ー液胞間輸送経路」の存在が想定された。本研究課題では、その分子機構の解明を目指すと共に、この「ゴルジ体ー液胞間輸送経路」の生物学的役割のひとつは「ゴルジ体恒常性維持」であり、さらには「ゴルジ体におけるタンパク質品質管理」に関係すると仮説を立て、検証を行なっていく。 本研究課題で想定している「ゴルジ体ー液胞間輸送経路」の標的ゴルジ体タンパク質の同定を進める中で、顕微鏡観察により糖鎖修飾酵素のみならず様々なゴルジ体タンパク質群が膜交通阻害において液胞へと輸送されていることが明らかとなってきた。さらに、これまで同定した標的ゴルジ体タンパク質の分類を行なった結果、ゴルジ体トランス層近傍に本研究で想定する「選択的ゴルジ体ー液胞間輸送」への運命づけを担う何らかの境界が存在する結果も得られてきた。つまり、本研究により見出した境界を境目に、膜交通に異常において液胞へ輸送される、もしくはされないというゴルジ体タンパク質の運命決定が行われている可能性が考えられた。これらの結果から本研究で想定する「ゴルジ体ー液胞間輸送経路」は新規性が高いことが予想される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「ゴルジ体ー液胞間輸送経路」の境界線がトランス層近傍に存在することが明らかとなってきた。さらに、糖鎖修飾酵素のみならず様々なゴルジ体構成タンパク質が本研究で想定される「ゴルジ体ー液胞間輸送経路」の標的であることが明らかとなってきた。
|
Strategy for Future Research Activity |
「ゴルジ体品質管理」と「選択的ゴルジ体ー液胞間輸送経路」との関係性について検証するため、レポーターの選定及び検討を進めていく。また、「選択的ゴルジ体ー液胞間輸送経路」に関わる遺伝子の遺伝学的単離を進めていくと共に、液胞タンパク質のプロテオーム解析の実験条件設定を早期に完了させる。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍による研究活動の制約(国内外での学会参加及び発表を含む)。
|
Research Products
(1 results)